高齢になると「食べにくくなる」食材①
お正月になると、高齢者がお餅をノドに詰まらせて病院に運ばれる痛ましいニュースが流れます。
食べ物は口にいれると咀嚼(そしゃく)が始まります。食べ物を噛むと唾液がでて、固まりを作り、飲み込む。これを繰り返して行なっているのです。加齢とともに噛む力が弱まり、唾液量も減り、飲む込む力も弱まってくるので食べにくい食材が出てきます。どのような食材が食べにくいのか例を挙げてみましょう。
■口のなかに張り付いてしまうもの
お餅のように粘り気が強いものは、ノドや口のなかに張り付いてしまうことがあり、飲み込みにくい食材です。海苔やワカメ、青菜の葉なども同様に張り付くことがあります。
■固いもの・繊維が多いもの・噛み切りにくいもの
食材を口のなかで細かく噛み切ることができないと、飲み込むのが難しくなります。例えば固いお煎餅やごぼう、たけのこ、イカ、タコなどです。
■水分が少なくパサパサしたもの
パンやゆで卵のように、水分が少ないものは口のなかの水分を奪ってしまい、ノドや口のなかに張り付いてしまうことがあります。
■水分などの液体
水、お茶、味噌汁などは口のなかでまとまりにくく、飲み込む前に気道のなかに流れ込みやすく、むせてしまう場合があります。同様に酢の物など酸味の強いものもむせやすい食材です。
せっかくのお正月ですから、好物を食べたいものです。次回は「食べにくい食材を食べやすくするためのひと工夫」を考えてみましょう。(次号に続く)
【執筆者プロフィール】
榎本 眞理/えのもと まり
東京医科大学病院 栄養管理科部長
高齢になると「食べにくくなる」食材
高齢になると「食べにくくなる」食材①