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事例5 もしやだまされているのでは?お金の管理が不安(2/2)

高齢者には意外と難しい
日々の金銭管理

 あるとき、ケアマネジャーから「叔母さんは銀行から一度に100万円をまとめて下ろしてくるので不用心です。お金の管理に『日常生活自立支援事業』を検討したらいかがですか」と言われました。

 「日常生活自立支援事業」とは、日常的な金銭管理や福祉サービスの申し込みをしてくれ、通帳などの預かりや見守りなどを有料でやってくれる制度だそうです。
 この制度を利用すれば、毎月一定の生活費を貯金通帳から引き出してもらうことができます。また、福祉サービスや、配食サービスの申し込みや支払い、医療費の支払いなども1回1,200円で代行してもらえます。

 チエさんも納得し、この制度を利用することにしました。
 まず、通帳と印鑑を預かってもらうことになりました。ところがいざとなると、チエさんが知らない人に通帳を預けることを心配して嫌がります。
 社会福祉協議会の人に相談すると、「もともと、この制度は高額の財産管理はできません。日常生活には、50万円程度を上限にした通帳をお預かりします」と言われました。

 そこで50万円を預金した別の通帳を作り、毎月1回15万円を持ってきてもらう提案をしたところ、チエさんもそのくらいの金額ならと安心して預けました。
 また年に2回、7月と12月は物入りなので10万円ずつ多めに持ってきてもらうように工夫しました。
 次第に担当者を信頼し、現在では年金証書や、預貯金通帳、実印、権利証なども預かってもらい、金融機関の貸金庫で保管してもらうようになりました。この制度は、本人に契約能力があることが条件です。早めに手をうてて良かったと利江さんはほっとしています。

成年後見制度の利用も考える

 しかし、今は自分の意思を伝えられるチエさんも、いつ認知症などになるかわかりません。いずれ、財産管理全般が必要になる時期や、高齢者施設に入るときが来るかもしれません。
 利江さんは、本人に代わって財産を管理したり、契約を結んだりする後見人を家庭裁判所が選任する「成年後見制度」を利用したい、と叔母に伝えました。

 チエさんに判断力があるので、信頼できる人と後見契約を結ぶこともできる、「任意後見制度」を利用することになりました。
 これからも、いろいろな制度をしっかり利用しながら、チエさんの状況を見守っていこうと利江さんは思っています。

ワンポイント

 認知症の初期には「まだら症状」といって、"正常な部分"と"認知症の症状がでている部分"が混在します。
 高齢者の財産について話し合うことは難しい場合もありますが、認知症になるともっと困難になります。資産の有無や通帳や印鑑の保管など、機会をとらえて話し合うことが大切です。

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