2.回想法の効果
回想はごく自然に起こる現象ですから、時間も空間も自由に行き来します。
回想法は「ただ、思い出を話してもらえばよい」というものではありません。専門的な勉強をして、それから実施するのがよいでしょう。
回想法の効果には「個人、個人内面への効果」と「社会的、対人関係的、対外的世界への効果」があげられます。
(1)個人、個人内面への効果
- 過去からの問題の解決と再組織化および再統合を図ります。
- アイデンティティーの形成に役立ちます。
- 自己の連続性への確信を生み出します。
- 自分自身を快適にします。
- 訪れる死のサインに伴う不安を和らげます。
- 自尊感情を高めます。
(2)社会的、対人関係的、対外的世界への効果
- 対人関係の進展を促します。
- 生活を活性化し、楽しみをつくります。
- 社会的習慣や社会的技術を取り戻し、新しい役割りを担います。
- 世代交流を促します。
- 新しい環境への適応を促します。
回想法の効果は高齢者の変化に加えて、職員の変化および家族への効果も期待されます。
それは、高齢者の個性、歴史、背景への理解を深め、かけがえのない存在として尊敬の念を抱かせるようになります。そしてそのことは、職員や家族の、より質の高いケアへの意欲につながります。