介護離職後はイバラの道
仕事をしながら介護を続けていると、「会社を辞めて介護に専念したら、少しは心身の負担が減るのではないか」「お金のことは心配だけど、それ以上に精神的負担から解放されたい」という思いが、頭をよぎることがあるかもしれません。
でも本当に、介護離職をすると心身ともに負担が減るのでしょうか?
「介護離職後の意識」に関する厚生労働省の委託調査(注)によると、「精神面」「肉体面」「経済面」の介護離職した人の負担感については、「経済面」の負担増だけではなく、思惑とは逆に「精神面」「肉体面」も負担増を感じているという結果になりました。
「経済面」は、お給料がなくなり約8割の人が負担増と感じています。「肉体面」の負担増は、経済面の負担も相まって、介護にお金をかけずに、排泄、入浴など身体介護もひとりで担う人が多いためと言われています。また、社会的な孤独や将来の再就職の不安を感じている人が多いことから「精神面」の負担増を感じる人も6割を超えています。
介護はいつまで続くか予測はできませんが、親との死別など、介護が終わる日は必ず来ます。一方、40代50代の働き盛りで介護離職した場合、介護が終わった後の再就職は大変厳しいのが現実です。
介護が終わった後も、私たちの人生は長く続きます。自分の人生も大切に、仕事も続けて、介護も続ける、そんな「仕事と介護の両立」を実現していきましょう。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査(平成24年度厚生労働省委託調査)」
【執筆者プロフィール】
津坂 直子/つさか なおこ
社会保険労務士、年金アドバイザー、AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士、上智大学法学部法律学科卒