親のこと、どれだけ知っていますか?~認知症の早期発見~
皆さんに質問です。ご自分の親はどのような1日を過ごし、何に興味を持って、どんな交友関係があるか、ご存じですか?
親の日常を思い出そうとすると、「一緒に暮らしていたころの父は、仕事から帰ってくると、ビールを飲みながらテレビでプロ野球観戦をしていた。母は料理名人で、子どものころは、毎日の手づくりおやつが楽しみだったな。」など、昔の親のことは知っているけれど、現在の親の暮らしは意外に知らないことばかりだ、と気付く人も多いかもしれません。
親の日常を知っておくことは、実は認知症の早期発見に役立ちます。なぜならば、どんな1日を過ごしているかを知っているからこそ、ちょっとした親の変化にも気付くことができるからです。
・週に2回、趣味の合唱クラブに通っていたのに、最近は辞めてしまったようだ。
・散歩が日課だったのに、家でテレビばかり見ている。
・最近は小銭が家のなかにたくさんある。もしかしたら、お金の計算が面倒になって、お札で買い物をする機会が増えたのかも。
65歳以上の高齢者のうち、認知症を発症している人は462万人*に上ります。また、400万人いると推計されている軽度認知障害の人を合わせると、65歳以上の4人にひとりが認知症とその予備軍となる計算です。
(*厚生労働省「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」H25.5報告)
認知症は、早期発見できると認知症のタイプによっては進行を遅くする薬を処方してもらえることもありますし、外科的な処置で症状が改善するケースも報告されています。
私たちの「仕事と介護の両立」のためにも、ぜひ、早期発見して介護予防を心がけていきたいものです。
【執筆者プロフィール】
津坂 直子/つさか なおこ
社会保険労務士、年金アドバイザー、AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士、上智大学法学部法律学科卒