塗り絵はなぜ認知症予防につながるか?
認知症を完全に治せるようになるには、まだ時間がかかりそうです。そのために、最近では認知症の予防が再度注目されています。
認知症予防には生活習慣病の予防が基本です。それができたうえで、脳を活性化させることによって、認知症に抵抗できる脳にすることができます。脳活性とは、神経細胞を増やすこと、神経細胞どうしのつながりを増やすことです。そのためには新しい体験をしていくことです。しかし、日常生活のなかで新しい体験をしていくことはなかなか難しいことです。どうしても同じようなことを繰り返してしまうのが脳の特性でもあるからです。
そこで見直されてきたのは塗り絵です。塗り絵というと子どものものと思ってしまいがちですが、1枚の塗り絵を最後まで塗ることは意外に時間がかかり、意欲を継続しなければいけません。塗り絵は違うテーマをやっていけば毎回新しい経験となります。
そこで重要なことは、最後まで塗りきる達成感を味わうことです。それによってまたやってみようという意欲が維持されるからです。少しずつ継続していくこと、これも非常に大切な要素です。新しい経験といっても一度で終わってしまえば脳を常に刺激していくことはできません。塗り絵は継続がしやすいことも、脳にとって有利に働くわけです。
【執筆者プロフィール】
米山 公啓/よねやま きみひろ
医学博士(専門/脳卒中、認知症、老人医療、健康論など)。
開業医のかたわら、講演、テレビ・ラジオの出演や医療番組企画など活躍の場は広い。
著書多数。