サービス付き高齢者向け住宅
平成23(2011)年10月に施行された「改正高齢者住まい法」に基づき設定された、高齢者向け住宅の登録制度に基づく住宅で、高齢者の生活を支えるサービスの提供が必須化されています。
基本DATA
特徴
- バリアフリーなど高齢者が暮らしやすい設備だけでなく、高齢者の生活を支援する一定のサービスを提供する高齢者向け住宅です。
- 原則25㎡以上(台所、浴室などが共有なら18㎡以上)で、居室それぞれに水洗トイレ、台所、浴室などの施設を有する、一般的な賃貸集合住宅と変わらない独立性を備えた住宅であり、自分のペースで生活をすることができます。
入居対象
基本的に60歳以上の高齢者が対象になります。
※配偶者、60歳以上の親族、要介護・要支援認定を受けている親族、特別な理由により同居する必要があると都道府県知事が認めた人は同居できます。
費用の目安
月額費用の総計13万円~(家賃、共益費、サービス利用料を含む)
※敷金が必要な場合もあります。
サービス付き高齢者向け
住宅登録制度がスタートした背景
「高齢者住まい法」が施行されたのは平成13(2001)年のこと。高齢者の賃貸住宅への入居拒否問題を解決するために、「高齢者円滑入居賃貸住宅」ができたのが、登録制度の始まりです。さらに、平成17(2005)年には、高齢者のみを入居対象とした「高齢者専用賃貸住宅」が創設されました。
これらの住宅は、高齢者でも年齢を理由に入居を拒否されずに安心して住み続けられる、バリアフリー仕様が充実しているなどの特徴がありましたが、高齢者の暮らしを支えるサービスの提供は、登録条件に含まれていませんでした。そこで、「改正高齢者住まい法」では、一定のサービスを提供する高齢者住宅の整備を目標に、新たに、「サービス付き高齢者向け住宅登録制度」がスタートしました。
※平成23(2011)年10月に施行された「改正高齢者住まい法」に基づき、「高齢者円滑入居賃貸住宅」「高齢者専用賃貸住宅」の登録制度は廃止されました。
高齢者向け入居施設を選ぶ際の
ポイント
居住性・設備
いまは元気でも、歳を重ねれば、健康上の問題が出てくるかもしれません。そのため、サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者が安心して暮らせるよう、段差のない床、手すりなどの設備、車いすでも利用しやすい幅をもった廊下の確保など、バリアフリー仕様が備わっています。
そのほかにも、コンセントが腰に負担をかけない位置にあるか、配電盤が手の届く位置にあるかなど、高齢者が使いやすい仕様になっているかもチェックしておくと安心です。
生活支援サービスの種類
サービス付き高齢者向け住宅は、医療・介護の専門職(医師、看護師、ケアマネジャー、ヘルパー1・2級保持者、社会福祉士など)が日中常駐し、安否確認と生活相談のサービスが受けられます。
そのほかのサービスについては、住宅により異なりますので、自分に必要なサービスが提供されるか、また誰がサービスを提供するか、その場合、一定レベル以上のサービス品質が保証されているかなどを確認する必要があります。
代表的なサービスとしては、緊急時対応サービス、宅配便や郵便物の預かり、食事提供、買い物代行、部屋の掃除やゴミ出し、外出の際の付き添いなどがあります。
緊急時の対応体制
住宅内で体調を崩し、医療機関への搬送が必要になった場合、スタッフが住宅に24時間常駐しており対応してくれるのか、それとも、夜間はスタッフがいなくなり緊急通報を受けた警備会社などの対応になるのかについても、チェックしておく必要があります。住宅内に常駐したスタッフの対応のほうが、比較的素早い対処が可能といえるからです。
介護サービスの提供体制
介護が必要になった場合でも、外部の訪問介護サービスを利用すれば、住み続けることができます。
ただし、寝たきりになり重度の介護が必要になった場合、重度の認知症にかかった場合、あるいは医療的ケアが必要になった場合などは、退去して、介護施設に移り住まなければならない場合も考えられます。
そのため、将来、介護が必要になった場合、どこまで対応してもらえるかを確認しておきましょう。一部の住宅では、介護付き有料老人ホームと同じように、住宅のスタッフが介護サービスを提供してくれるものもあります。
監修:和田光一(わだ こういち)
東京都職員として障害施設などのワーカー、東京都補装具研究所、東京都福祉機器総合センター、つくば国際大学に勤務。
東京都介護支援専門員研修講師、府中市福祉のまちづくり推進審議会会長、東京都第三者評価研修講師、NPO法人「福祉を支える友の会」理事、(財)労災サポートセンター幹事などを歴任。2007年から創価大学文学部人間学科社会福祉専修 教授。