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1.ハラスメントの実態と発生要因(1/3)

公開日:2019年11月16日

ポイント1 
利用者等からのハラスメントの
深刻な実態

 2019年4月、厚生労働省老健局から全国自治体に向けて「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」が示されました。あらゆる業界において、職場におけるハラスメント対策は大きな課題となっています。
 そのなかでも、介護現場特有のハラスメントとして社会問題化しつつあるのが、「利用者や家族等から介護従事者に向けられるハラスメント」です。

 この場合のハラスメントは、サービス提供の場における利用者・家族等からの以下のような行為を指します。

  • ①身体的な力を使って危害を及ぼす行為
    (身体的暴力)
  • ②個人の尊厳や人格を言葉や態度によって傷つけたり、おとしめたりする行為
    (精神的暴力)
  • ③意に沿わない性的誘いかけ、好意的態度の要求等、性的な嫌がらせ行為
    (セクシャルハラスメント)

などとなります。

 深刻なのは、こうした行為が発生しても、その実態がなかなか表に出にくいことです。
 介護サービス現場では、利用者や家族は「支援を要する守られるべき立場」という認識が根強くあります。それゆえに、従事者が被害を受けても「少々のことなら」と我慢してしまい、仮に上司や管理者に相談しても、やはり「我慢すべき」と諭されるだけというケースも少なくありません。その結果、水面下で事態がエスカレートしてしまいがちです。

 こうしたケース発生は、他者の目が入りにくい訪問系サービスの方が顕著と思われがちです。ところが、先のマニュアル内で示された調査結果では、特に利用者本人からのハラスメント経験が施設・居住系サービスも高い割合を示しています。サービスの種類に関係なく、対策が要される問題というわけです。

利用者・家族等からのハラスメント
にはどのようなケースがあるか

身体的暴力

 身体的な力を使って危害を及ぼす行為
(従事者側の回避で危害を免れたケース含む)

具体例
  • 物を投げつける
  • 蹴りつける
  • 手を払いのける
  • たたきつける
  • ひっかく、つねる
  • 首をしめる
  • 唾を吐く
  • 服を引きちぎる

など

精神的暴力

 個人の尊厳や人格を言葉や態度によって傷つけたり、おとしめたりする行為

具体例
  • 怒鳴る
  • 威圧的態度で文句を言い続ける
  • 理不尽なサービスを要求する
    (介護保険外など)
  • こちらに落ち度がないにもかかわらず謝罪を求める

など

セクシャルハラスメント

 意に沿わない性的誘いかけ、好意的態度の要求等、性的な嫌がらせ行為

具体例
  • 必要もなく抱きしめ、身体をさわる
  • 女性のヌード写真を見せる
  • 卑猥な言動を繰り返す
  • サービス中の従事者の衣服内に手を入れる

など

(平成30年度厚生労働省老人保健健康増進等事業「介護現場におけるハラスメントに関する調査研究報告書」内の「ハラスメントの定義」を一部改編)

調査時(2018年)の過去1年間で
ハラスメントを受けたことがある
職員の割合(※)
(サービス別の上位5位までを掲載)

「調査時(2018年)の過去1年間でハラスメントを受けたことがある職員の割合(サービス別の上位5位までを掲載)」の図の画像

※「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」p5

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