ひとり暮らしの親の火の管理
今すぐ介護が必要、というわけではないけれど、最近、親が弱ってきた気がする。いつまでひとり暮らしを続けられるのだろう...。
ひとり暮らしの親がいる人は、漠然とした不安を抱えているのではないでしょうか。そんな離れて暮らす親の毎日の課題解決のヒントを、専門家に伺います。
親の多くは、「住み慣れたこの家を離れたくない」と言います。子としては、親の意向を尊重したいと考えるのですが、「本当に、大丈夫?」と、心配になることがあります。
タカシさん(仮名)の母親(83歳)は、遠く離れた実家でひとり暮らしをしています。「特に、火の始末が心配です。もし、火事で隣人を巻き込んでしまったら...」とタカシさん。ガスコンロをIHに、石油ストーブをエアコンに替えるように勧めていますが、母親は応じてくれないそうです。母親の言い分は「使い慣れたものが一番!」だとか。
本人の拒否感が強いなら、使い勝手を大きく変えずに安全装置などが付いた製品への交換を勧めてみましょう。周囲に燃えやすいモノが置かれていないか確認を。コンロの火を点けたままその場を離れない、就寝中は石油ストーブを点けないなど、多少うるさがられても話しましょう。介護を要する親なら、「火の始末」を心配していることを担当のケアマネジャーにも伝えておくと、目配り、心配りしてくれるはずです。
それでも危険になってきたら、親の意に反してもより安心・安全な環境整備が必要になります。場合によっては、施設入居も選択肢となるでしょう。
【執筆者プロフィール】
太田 差惠子/おおた さえこ
介護・暮らしジャーナリスト、NPO法人パオッコ理事長。
1994年頃より高齢化社会を見すえながらの取材、執筆を開始。
96年、親世代と離れて暮らす子世代の情報交換の場として「離れて暮らす親のケアを考える会パオッコ」を立ち上げる。
2010年立教大学大学院にて、介護・社会保障・ワークライフバランスなどを体系立てて学ぶ。著書多数。
関連著書紹介
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70歳すぎた親をささえる72の方法
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