運転の「やめどき」の判断
普通免許を取るには18歳以上で学科と実技と適性の運転免許試験に合格すればよいのですが、免許を返上する時は、事故や違反で免許を取り消されたり、適性検査や認知機能検査などに引っかかったりしない限り、免許は取り消されません。
多くのドライバーは、免許を更新しなかったり自主返納したりして運転をやめるわけですが、いつ運転をやめたらよいかが迷いどころです。
それでは運転の「やめどき」はいつでしょうか。それは安全運転ができなくなり、事故を起こして自分や他人を傷つける可能性が増した時です。また、事故が起きてからでは遅いので、その兆候が見えだした時が「やめどき」といえます。運転に不安を感じたり家族から説得されたりしてやめるのです。ただし、交通の便が良い所に住んでいる人はもっと早くやめるでしょう。
「やめどき」を調べるための運転評価
運転の危険性を調べる直接的な方法は、実車を用いた運転評価です。現在も70歳以上の免許更新予定者を対象とした高齢者講習で、ドライブレコーダーを用いて教習所コースで実車指導が行なわれていますが、危険な運転の指摘と指導に留まっています。
警察庁ではこれを改善し、危険度をランク付けして客観的に問題点を指摘する予定です。これにより運転技能の低下を自覚して運転をやめる人も出てくるでしょう。また、過去3年以内に一定の交通違反や事故を起こした高齢ドライバーに対しては、運転技能検査を実施し強制的にやめさせる手段も用意しています。
【執筆者プロフィール】
松浦 常夫/まつうら つねお
警察庁科学警察研究所 交通安全研究室主任研究官などを経て、現在、実践女子大学教授。交通心理学の専門家として、交通事故などの研究に携わる。
「高齢ドライバーの安全心理学」など著書多数。