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排泄物の臭いを家族が嫌がる

一般公開日:2022.3.20

<質問>

 要介護2の父とマンションで三世代同居しています。トイレが1つしかなく、まだ自力で行ける父が失禁などで便器周りを汚すので、娘や息子が臭いを嫌がります。

<回答>

 三世代同居という環境の中で介護を受けるお父様にとっては日々の生活が、安全、安心、心地良いものと思われます。しかし、世代間のさまざまなトラブルが生じやすい面もあります。排泄物の臭いもそのひとつで、トイレを共有することで生じる場合があります。

 高齢者の中には排泄機能の低下から、便器にたどり着くまで間に合わず、便器の周りが汚れてしまう場合があります。また男性高齢者の中には、長い年月のトイレ習慣から立ったまま排尿する人も多いため、尿ダレ、尿ハネなどで臭いが発生してしまうこともあります。

 また座って行なう人でも、便器の外に尿ダレ、尿ハネをしてしまう場合があります。いずれにしても、特に若いお子さんたちにとっては汚れや臭いが不快であることは十分推察されます。

 しかし、排泄が思うようにいかず、一番気にしているのはお父様かもしれません。排泄行為に関する言動に対しては、家族全員が高齢者の自尊心と羞恥心に十分配慮することが求められます。

 そこで、ご家族で、高齢者の排泄機能低下から起こる失禁などについて理解するために、ご本人をのぞいて話し合いの機会を持ってはいかがでしょうか。家族全員で、お父様の「できる限り、自力でトイレに行こう」とする気持ちを応援したいものです。

 それとあわせて臭い対策も具体的に考えましょう。速やかにトイレの臭いを解消するためには頻繁に掃除や換気を行ない、除菌スプレーや家族の好みに応じた芳香剤を使用しても良いでしょう。

 根本からトイレの臭いをなくすためにはお父様の失禁の原因を把握して解決するための対応を考えることが必要です。例えば、ズボンや下着の着脱動作が困難な場合は着脱のしやすいズボンの工夫が必要かもしれません。

 また、トイレまでの移動に時間がかかり間に合わない場合に備えて、自室にポータブルトイレを置くのも一案です。失禁予防のためにリハビリパンツの使用などの対応をお父様と相談し検討する必要もあります。

 いずれにしても、臭い対策をしながら、お父様が家族に気兼ねなくトイレでの排泄をできるだけ長く続けられるように、家族全員の協力があるといいですね。

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【執筆者プロフィール】

河内 律子/こうち りつこ

介護現場で介護職と介護支援専門員、教育現場(田園調布学園大学人間福祉科など)で非常勤講師を務めた。
現在は介護労働安定センター研修講師・山野美容専門学校美容福祉にて非常勤講師。

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