なぜフットケアが大切なの?
フットケアという言葉を聞くと、足のマッサージを思い出す方も少なくないと思います。ここでは、特に年を重ねていくことにより必要になってくる足のケア(フットケア)について、4回に分けてお伝えします。
人の体を形成している骨は、大きさも形もさまざまですが、その数は200個程度です。そのうち、足首から先端(足部)の骨は両足で約50個、つまり個数だけで言えば全身の四分の一もの骨が足を構成しています。
しかしながら、体の中では最も目や手が届きにくく、優先順位の低い箇所といえます。また、「足が悪いのは年のせいだから」などとあきらめている方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、足は自分の体を移動させる車でいうタイヤの役割をしているとともに、特にふくらはぎの機能は第2の心臓といわれるように、血液を心臓に戻し、循環を良くするための役割も担っています。
車で言うとエンジンです。タイヤやエンジンがない車は、車としての機能を果たすことはできません。ですので、ご自分の足をいたわる、ということは、全身をいたわることにもつながるといえるのです。
足が不自由になると、転びやすくなります。特に家の中など小さな段差でつまずき、骨折して寝たきりとなってしまう方は、後を絶ちません。骨折をしたら、その箇所は安静にしないといけませんが、それ以外の部分は健康ですので、できるだけ動かすことが大切です。
もし万が一寝たきりになると、足の筋肉を使う機会が激減し、血液の循環が悪くなります。ほかにも、肺炎になりやすくなる、気力が衰えるなど、考えただけで気分が落ち込むことがたくさん起こります。
もし足のことで気になっていることがあれば整形外科などの病院を受診したり、マッサージや軽い運動をして関節の動きを良くしたり、巻き爪や厚くなった爪を専門家にケアしてもらったりなど、ご自分で手に負えないことはあきらめずに、足の専門家に任せることも大切です。日ごろから足に意識を向け、お手入れを心がけましょう。
【執筆者プロフィール】
西田 壽代/にしだ ひさよ
足のナースクリニック代表 聖路加看護大学看護学部看護学科卒業。
皮膚・排泄ケア認定看護師、保健師、介護支援専門員、救急救命士、日本フットケア・足病医学会認定フットケア指導士。
「はじめよう!フットケア」日本看護協会出版会 監修・執筆(共著)他多数。