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高齢者の足の特徴

一般公開日:2023.3.19

 年を重ねると、個人差はありますが、体や心にこれまで感じなかった変化が起こってきます。一番わかりやすいのは、皮膚です。ハリがなくなる、カサつくなどを自覚される方はいらっしゃると思いますが、それらは、年齢とともに細胞の再生力が落ちていくだけでなく、皮膚自体を作る栄養素を取り込む力が低下することも一因となっています。

 そのため皮膚が薄くなり、防御力も低下します。それにより、足の皮膚には乾燥とそれによるかゆみ、水虫などの感染症がおこりやすくなります。

 皮膚の乾燥は、足への血流が低下し、足の皮膚に十分な栄養が届きにくくなることで起こりやすくなります。また、細胞一つ一つをつなぐ保湿成分が機能低下するため、細胞の間に隙間が生まれて外部の刺激が神経を刺激しやすくなります。

 その刺激が痒みとなってあらわれ、かくことで傷を作り、その傷が治りかけるとまた痒くなりかき傷を作る、という悪循環を生みます。この悪循環を断ち切るために大切なことは、栄養をきちんと取ること、そして皮膚が乾燥しないように保湿をすることです。

 水虫は、清潔にしていないとかかると思われがちですが、実はそれだけではありません。水虫はカビの一種である白癬はくせん菌による角質層(皮膚の一番表面にある層)への感染症です。皮膚にカビが生えるのは、皮膚の免疫力が落ちているときです。

 年を重ねると免疫力が落ちてかかりやすくなりますが、それ以外に先ほどお伝えした乾燥、皮膚の蒸れも皮膚の免疫力低下を招きます。足の清潔を保つだけでなく、適度な保湿、足指の間がじくじくしないように靴下をはくこと、毎日同じ靴を履かず1日はいた靴は1~2日休ませることも大切です。

 足に合った靴を正しい履き方で履かないことで起こる「足の生活習慣病」としては、巻き爪、爪の肥厚(分厚くなること)や変形、角質の一部が厚くなるタコやウオノメがあります。また、足の皮膚にできた水虫が治らないままでいると、爪水虫になることもあります。

 これらを見過ごさずに対策することが、場合によってはひざ痛や腰痛、歩きにくくなったり転んだりすることを未然に防ぐことにつながるのです。

【執筆者プロフィール】

西田 壽代/にしだ ひさよ

足のナースクリニック代表 聖路加看護大学看護学部看護学科卒業。
皮膚・排泄ケア認定看護師、保健師、介護支援専門員、救急救命士、日本フットケア・足病医学会認定フットケア指導士。
「はじめよう!フットケア」日本看護協会出版会 監修・執筆(共著)他多数。

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