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孤独死をしないだろうかという不安

一般公開日:2023.3.19

 ひとり暮らしの高齢者にはさまざまな課題があります。とりわけ、別居の家族側から多い声は「孤独死をしないだろうか」という心配。家族側に限った話ではなく、ひとり暮らしをしている当人も「孤独死を避けたい」と考えていることでしょう。

 マリコさん(50代)の父親(80代)は実家でひとり暮らしをしていました。かねがね高齢者施設へ入居するよう勧めていましたが、「元気なうちは住み慣れたこの家で暮らしたい」が父親の口癖でした。

 ある夕刻、マリコさんが電話をかけても、父親は受話器を取りませんでした。「嫌な予感がして、実家近所の父の友人に電話して様子を見に行ってもらったのです」とマリコさん。その友人が、父親が浴室で倒れているのを発見。午前中、いつものようにゲートボールに出かけ、帰宅してシャワーを浴びている最中に倒れたようです。

 すでに亡くなって時間が経過していたため、病院へは搬送されず警察による死体検死。マリコさんは「孤独死をさせてしまった」と悲しみに暮れていました。

 しかし、ものは考えようで、マリコさんの父親の死は、多くの人が望む「長患いしない亡くなり方」ともいえます。そして、父親には近所に友人がいたことから、すぐに確認してもらうこともできました。父親の友人は、実家の合鍵を預かってくれていたのです。たとえ同居家族がいたとしても、24時間そばにいるわけではないので、"誰もいないときに亡くなる"ことは起こりえます。

 本当の意味での「孤独死」とは、何日もして「異臭」によって発見されることではないでしょうか。

 ひとり暮らしの場合、毎日の連絡、そして、いざというときには様子をのぞいてくれる"頼れる人"の存在が不可欠だといえます。家族や親族で行なうことが難しい場合は、ホームセキュリティサービスやみまもりサービスを入れることを検討したいものです。

【執筆者プロフィール】

太田 差惠子/おおた さえこ

介護・暮らしジャーナリスト、NPO法人パオッコ理事長。
1994年頃より高齢化社会を見すえながらの取材、執筆を開始。
96年、親世代と離れて暮らす子世代の情報交換の場として「離れて暮らす親のケアを考える会パオッコ」を立ち上げる。
2010年立教大学大学院にて、介護・社会保障・ワークライフバランスなどを体系立てて学ぶ。著書多数。

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