"8050問題"って何? どのような問題なのでしょう?
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「8050問題」とは、「80代」の高齢の親と「50代」の未婚の同居の子どもが同居するなかで抱えている問題です。どのような問題なのでしょうか。
「80(親)側」の特徴として
次のようなことがあげられます
将来の不安、無力感
- 自分の介護が必要になったときや、生活費の心配
- 子どもの生活の心配。自分の亡き後には暮らしていけるのか
- あきらめている
- 困っているけれど、誰に助けを求めたらよいのかわからない
周囲との関係
- 自分たちの家庭生活の状況を他者に知られたくない
- 子どもが働いていないことに負い目を感じている
子どもとの関係
- 子どもの世話は親の役割や責任があるため子どもの生活をみていくしかない
- 自分の思いが子どもに伝わらない、どうかかわってよいかわからない
- 子どもからの暴言や暴力が怖い
「50(子ども)側」の特徴には
次のようなことがあげられます
引きこもりの原因・プロセス
- 若い頃、学生時代のいじめや不登校といった体験が原因で、ひきこもりが長期化
- 仕事に就いたがなじめず退職(または介護離職)し、ひきこもりが長期化。社会とのつながりがほとんどない
- 障がいや疾患を抱えており、社会とのつながりが難しく、ひきこもりが長期化
就労・生活上の課題
- 働いていないことに負い目を感じている(働きたい気持ちはある)。収入がない、または低収入
- お金、食事、家事、掃除など生活の自己管理ができず、親に頼るしかない
現状から抜け出すことが困難
- 自分の事も親の事も他者に相談しにくい。親にも相談できない
- しんどい思いをしなくてもよい今の状況の居心地がよい
親側、子ども側のそれぞれの特徴をみると、多種多様であることがわかります。
また、ほかにも以下の問題が生じてきます。
- 親も子も人とのつながりが薄く、地域から孤立している傾向がある
- 子どもがまだ現役世代のため、周囲(地域住民や関係機関)が見落としてしまいがち
- 家族間の関係性もみえにくい。支援の介入にも慎重な世帯もある
つまり、"8050問題"の世帯は、困っている、助けてほしいといった声をあげにくい等、問題が表面化しにくく、潜在的であるという特徴があります。
親が元気な間は子の生活や経済的な援助をする生活が可能ですが、親自身の要支援や要介護状態が進行していくと、親子両者が生活の危機に陥りやすくなり、親子共倒れになってしまう可能性も高くなります。
【執筆者プロフィール】
綾部 貴子/あやべ たかこ
桜花女子大学准教授 博士(学術)、社会福祉士、介護福祉士。
専門は、高齢者福祉、ケアマネジメント、介護福祉、地域福祉、障害者福祉等。
8050問題
"8050問題"って何? どのような問題なのでしょう?