"8050問題"に私たちができることは?
"8050問題"について、私たちができることは何でしょうか?
1つめは、まず"8050問題"を知ることが大切です。8050問題は多種多様です。親側、子ども側それぞれに悩みや課題があり、双方に影響を受けながら世帯での課題としてあらわれてきます。
多くの人が、家族や友人、職場の仲間等周囲の人との出会いや支えで、生活の悩みを乗り越えて今のくらしがある(今のくらしができている)のではないでしょうか。8050問題はどの家庭でもなりうる可能性のあるテーマだと思います。自分事のように考えてみることが当事者理解にもつながると思います。
2つめは、相談できそうな人や機関の情報を調べることです。地域で相談にのってくれそうな身近な町会長や民生委員、地域包括支援センター(以下、包括)等相談の専門機関の担当者を調べてみてください。
インターネットや広報誌等でこれらの人の顔や連絡先等を公開しているところも増えており、気軽に相談しやすいように工夫されています。民生委員や専門機関は相談内容についての守秘義務があります。
生活での困りごとや不安についての話を聴き、解決するための方法を一緒に考え、提供してくれます。また、ひきこもり支援団体等子ども側の相談内容を一緒に考えてくれる機関もあります。
周囲の住民のなかには「もしかすると〇〇さんのお宅、"8050問題"のような悩みを抱えているのでは...」と気になっている方もいるかもしれません。その場合でも、地域の民生委員や包括に相談してみることも方法の一つです。
つながりを持っておくと、見守り等さまざまな支援方法を一緒に考えたり、提案したりしてもらえます。逆に、民生委員や包括から「〇〇さん、最近、お見かけしていますか。」等の声かけがあるかもしれません。
相談者本人や地域住民のなかで「このような相談内容で相談してもよいものか」という思いのある人もいると思います。しかし最初の相談が支援の方向性を見出せるきっかけになります。
3つめは、地域でつながりを築くことです。"8050問題"は当事者が困り事の声をあげにくく、周囲が気づきにくいことも特徴の一つです。日ごろから地域住民や民生委員等地域の関係者、専門機関等お互いの顔の見える関係を築き、つながりを持っておくことで、地域の人の困りごとに早めに気づき、支援につながることにもなります。
"8050問題"への理解とともに日ごろからの地域でのお互いの顔のみえる関係づくりが住みやすい地域づくりにもなると思います。
【執筆者プロフィール】
綾部 貴子/あやべ たかこ
桜花女子大学准教授 博士(学術)、社会福祉士、介護福祉士。
専門は、高齢者福祉、ケアマネジメント、介護福祉、地域福祉、障害者福祉等。
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