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明日死んでも後悔しない人生の過ごし方

一般公開日:2023.9.17

 縁起でもない話で申し訳ないが、80代になると死はいつやってくるかわからないという覚悟も必要だ。80歳の男性の場合、平均寿命は81.47歳なので2年も生きられないと思われがちだが、それは勘違いだ。厚労省が発表している『令和3年簡易生命表』によると80歳男性の平均余命は9.22年。ちなみに女性は12.12年だ。

 平均して後10年は生きられるわけだから80まで生きた人はざっくりいうと半数は90まで生きられることになる。ただ、残念ながら残りの半数は80代で亡くなるということである。やはり死を覚悟する必要はありそうだ。

 死を覚悟するということは、明日死ぬかもしれないのだから明日死んでも後悔しないような人生の過ごし方をすべきだということだ。例えば行きたいところがあるのなら、なるべく早いうちに行っておく。会いたい人がいるなら、なるべく早いうちに会っておく。特に相手が高齢の場合はそうだ。

 コロナ禍のせいで旅行を自粛していた人も多いだろうが、元気で旅行に行ける期間は意外に長くない。できれば楽しみを優先したい。お金の心配をする人もいるだろうが、寝たきりや認知症になったら福祉のおかげで意外なほどお金はかかならい。少なくともそのための貯金はいらないと言っていいほどだ。

 検査データ至上主義の医者たちは、塩分を控えろ、甘いものを我慢しろ、脂っこいものはダメなどというし、身体がだるくなっても血圧や血糖値を下げろというが、それは心筋梗塞や脳卒中の予防にしかならない。それをストレスに感じるなら、免疫機能が下がってかえってがんになりやすくなる。

 日本は心筋梗塞の約12倍の人ががんで死ぬ国だ。健康に気を遣うあまりがんになる人が実はものすごく多い。今までの我慢は何だったのかと後悔する人も少なくないはずだ。死を覚悟するということは死んでも後悔しないということだと私は信じている。

【執筆者プロフィール】

和田 秀樹/わだ ひでき

東京大学医学部卒業。専門は老年精神医学、精神分析学、集団精神療法学。
現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。
高齢者専門の精神科医として、30年以上高齢者医療の現場に携わる。
著書『80歳の壁』などベストセラー多数。

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