MY介護の広場トップ >  一般のみなさま >  介護の知恵袋 >  メールマガジン配信コラム&エッセイ~専門家が語る介護の話~ >  高齢者の歩行と健康・歩くことはなぜ重要か

歩くことはなぜ重要か

一般公開日:2023.9.17

 古代ギリシャの医師ヒポクラテスは「歩くことは人間にとって最良の薬である」と述べました。現代では歩くことが心身の健康に良いということはもはや常識になっていますよね。人生100年時代といわれる昨今、いくつになっても自分の足で歩き、心身の健康を維持・向上させたいという欲求は、ますます高まってきています。

 しかし歩くことにはそれ以外にも数え切れないほどのメリットがあります。

 「歩く」という行為は、人の基本的な生活動作であるだけではなく、健康増進・維持など健康面への効果、気分転換・ストレス発散など精神面への効果、交流など社会面への効果、環境面での効果(車に乗る代わりに歩くことで排出ガスの抑制になります)といった多様な側面に対して良い効果をもたらします。

 日本ウォーキング協会では、ウォーキングは「①健康②環境③教育④観光⑤交流」の「5つのK」に同時に役立つものであり、将来のSDGs(持続可能な社会)に向けた最も有効なライフスタイルの一つであるとしています。

 人類が始まって以来、ずっと人は「歩く」という自然な移動行為を通してさまざまな人と交流し、文明を深めてきました。実際、現在では個人レベルでも歩くことを介して友人・知人と交流し、職場や学校に通います。いわば社会的健康を維持する「起点となる行為」が「歩くこと」と言っても過言ではありません。

 この、その人独自の交流、つまりは「歩くことにより築かれる人や場所との繋がり」こそが「その人らしい生き方そのもの」です。実際、介護・医療の現場でも、歩くことが十分にできなくなると社会的に孤立するケースも少なくありません。

 いくつになっても「自分らしい生き方」をするためには、人や社会との交流を図ることがとても重要で、そのためには歩行能力をいつまでも維持しておくことが必須になります。

 次回は、もっと具体的な歩行の健康効果についてお伝えしていきます。ぜひ楽しみにしていてくださいね。

【執筆者プロフィール】

西野 英行/にしの ひでゆき

理学療法士。福祉用具専門相談員として介護業界で3年間勤務した後、理学療法士の資格を取得。
現在は訪問リハビリテーションに勤務。リハビリのブログ「未来のPT」を運営している。
著書『100歳まで元気でいるための歩き方&杖の使い方』がある。

MY介護の広場トップ >  一般のみなさま >  介護の知恵袋 >  メールマガジン配信コラム&エッセイ~専門家が語る介護の話~ >  高齢者の歩行と健康・歩くことはなぜ重要か