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春だ!散歩に出よう

一般公開日:2023.9.17

 春は1年中を通して最も散歩に適した時期です。この時期の気持ち良い散歩の機会を逃すのは非常にもったいないですよ!ぜひ、時間を作ってこの機会に歩く習慣を身につけましょう。

①背筋を伸ばして、遠くを見ながら歩く

 歩いているときに、気付くと足元を見て歩いてしまっている、という方は多いはず。足元を見ながら歩くと散歩中の景色も楽しめませんし、なにより歩行効率が低下し、疲れやすくなってしまいます。

 足元を見て歩くといわゆる猫背になってしまいます。猫背になると歩幅が狭くなり、足の筋活動量や関節の可動する範囲も低下します。背筋を伸ばして歩くように心掛けましょう。

かかとから接地する

 高齢者に多いすり足の場合、踵から接地せず、足裏で接地するため、常にブレーキをかけながら歩いているようなもの。

 疲労しやすく、長時間歩行することが難しくなってしまいます。踵から接地することで、踵→足首→つま先と、前方へ重心を移動させる回転トルクが伝わり、効率的に体を前進させることができます。この機能をロッカーファンクションといいます。つまり、踵から接地することで、人体に本来備わる歩くメカニズムを機能させ、長時間歩くことができます。

③少しだけ大股で歩く

 少しだけ大股を意識して歩くことで体の左右への重心移動がスムーズに行なえ、疲労しにくくなります。具体的には、右足を出すときに反対側の左足にしっかりと体重を移動させることで、右足が軽く前に出ます。

 歩きにくい、または足が前に出にくい原因として一般的によくいわれるのは「足腰の筋力低下」です。しかし、実際は歩行動作にはそれほど大きな筋力を必要とせず、重心の移動が上手く行なえていないために歩きにくい場合が多いのです。重心の移動が上手に行なえなくなる原因は人によりさまざまで一概にいえませんが、「いつもより3cmほど大きく足を出す」ことで重心の移動がスムーズになります。

 コツとしては、いきなり大きく歩幅を広げようとしないことです。具体的には少しだけいつもより歩幅を大きくしてみましょう。大股にすることですり足も改善され、踵から接地することもできますし、さらに背筋も伸びやすくなります。

 ぜひ試してみてくださいね。

【執筆者プロフィール】

西野 英行/にしの ひでゆき

理学療法士。福祉用具専門相談員として介護業界で3年間勤務した後、理学療法士の資格を取得。
現在は訪問リハビリテーションに勤務。リハビリのブログ「未来のPT」を運営している。
著書『100歳まで元気でいるための歩き方&杖の使い方』がある。

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