条件を考えるのは大事。ただし優先順位をつけよう。
最近、「老人ホームの探し方」をテーマにセミナーの依頼を受けることがあります。そのなかで老人ホーム探しのコツとまでは言いませんが、ポイントとしてあげるのが「譲れない条件を少なくする」です。今回はその譲れないポイントが多すぎて、老人ホーム探しが難航したお話しをします。
あるご家族からご両親の老人ホーム探しの相談を受けました。お母さまが若干認知症を患っていることを除けば、比較的お元気なご夫婦でした。またご両親も今後、より介護が必要になった時の事を考え、老人ホームに入ることを納得されているご様子でした。
ご夫婦の入居相談の場合2人部屋希望かどうかがポイントとなります。というのも2人部屋自体、数が少ないのです。50部屋の老人ホームがあったらそのうち2人部屋は1部屋か2部屋あればいい方だと思います。今回のケースでは2人部屋を希望されておりましたので、まずは空いている2人部屋を探すことからスタートしました。
ですが、その空いている2人部屋を探す間、ご夫婦からさまざまな条件が出てきてしまい、一気にお部屋探しの難易度が上がってしまいました。
- 部屋は南向き
- 窓からの景色に富士山、
もしくは海が見える - 部屋の広さも一定以上
- こだわりの間取り
- 介護が手厚い
- 奥様への介助は同性介助 等々
希望条件があることは自らの終の住処を選ぶのですから当然のことだと思います。私もできる限り条件に沿った老人ホームを探しますし、力になりたいと考えています。ただ問題なのは、老人ホーム探しに時間をかけすぎてしまい、その間に身体状況が変化し、選べる老人ホームの範囲が狭くなってしまう事だと考えます。
今回のケースは、ものすごく急いでいる案件ではなかったものの、上記の理由から迅速に対応しようと考えていました。ただすべての条件を満たす老人ホームはなかなか見つかりません。並行して何度かご夫婦と話し合いをさせていただき、条件の整理と優先順位をつけていきました。最終的にいくつかの条件が「絶対」から「可能なら」に変わっていき、こちらとしても幅広く探すことができるようになりました。
結果的には、希望条件をかなり叶える老人ホームが見つかりましたが、そのホームは2人部屋が無く、ひとり用のお部屋しかありませんでした。ただそこは部屋と部屋の間をコネクティングにすることができるホームでしたので、無事そこに入居する運びとなりました。今でもつなげたふたつの部屋をひとつは寝室、ひとつは居間、のような使い方をして仲良く暮らしているようです。
条件を考えるのは大事。ただ絶対条件と、できれば叶えたい条件に分けて考えることが肝要です。
【執筆者プロフィール】
脇 俊介/わき しゅんすけ
株式会社プランドゥ代表取締役。
社長業と兼任し、入居相談員としても相談者をサポート。
介護職員初任者研修の資格を有し、介護や施設選びのポイントについてアドバイスを行ない、近年は老人ホームに関する講演活動も精力的に取り組んでいる。