入居者となじめず転居を考えている
老人ホーム探しはほとんどの方にとって言い換えれば「終の住処探し」になります。終の住処なのですから、入ってから後悔はできる限りしたくありません。今回のケースは周囲の環境になじめず後悔した方のお話になります。
その女性の方にご相談されたのは「老人ホームを転居したい」ということでした。ご入居されているホームは、風光明媚な街にあり、部屋からは海を見渡すことのできる自立者向けの有名なホームでした。
入居したきっかけは、ご主人が数年前に他界され、お子様はおらず、独居は寂しいので決意したとの事。条件は大好きだった海が見える部屋であること、周りの入居者とお友達になりたいのでレクリエーションやサークル活動が活発なところを探したといいます。
ご主人はかなり資産を残してくれており予算的な問題はなかったようですが、なかなか希望する施設に巡り合うことはできませんでした。そんな時にお友達から、テレビで紹介していたホームが良さそうだと教えてもらい、さっそくパンフレットを取り寄せ見学したところ、自分の希望する条件にぴったりで、いわゆる富裕層向けのホームで料金はかかりましたがそこに入居することに決めたそうです。
入居後、サークル活動やレクリエーションにも積極的に参加し、希望通りお友達もできました。ホームで出されるお食事やスタッフのサービスもとても満足いくものだったようです。特に仲が良くなった数人とグループでお食事をし、時には外出してお買い物を楽しみ、ちょっとした旅行もするほど充実した生活を送っていました。
ところが少しずつその仲良しグループとの行動がつらくなってきました。いつしか会話の内容についていけなくなったのです。というのもお友達のほとんどの人が、この街で長く暮らしてきており、いわゆる地元の名士の家族でした。親しさを増すほど地元のプライベートな話が多くなり、自分が部外者だと認識させられ、段々とそのグループを避けるようになりついには転居を考えるようになったそうです。
このような、ホームに入った後なじめるかどうかは、非常に難しく、答えはないかもしれません。しかし、入居検討の際に、どういった方々が入居しているかを確認することで回避できることがあるかもしれません。お元気なうちに老人ホームへの入居を検討されている方はそういった内容も気に留めておきましょう!
【執筆者プロフィール】
脇 俊介/わき しゅんすけ
株式会社プランドゥ代表取締役。
社長業と兼任し、入居相談員としても相談者をサポート。
介護職員初任者研修の資格を有し、介護や施設選びのポイントについてアドバイスを行ない、近年は老人ホームに関する講演活動も精力的に取り組んでいる。