MY介護の広場トップ >  一般のみなさま >  介護の知恵袋 >  メールマガジン配信コラム&エッセイ~専門家が語る介護の話~ >  介護認定調査について知りたい!・介護認定調査の内容と役割とは

介護認定調査の内容と役割とは

一般公開日:2024.3.17

 65歳以上の高齢者や40~64歳までの加齢に伴う疾病が原因で常時介護や支援を必要とする状態になった時に介護保険サービスを希望する場合、住民票のある市区町村に介護保険申請を行ないます。
 その申請後に行なわれる「聞き取り調査」の事を「介護認定調査」といいます。調査した結果は、要介護度の決定に大きく影響する大切な役割があります。

 その調査の日。役所から「介護認定の調査に来た」と聞いた途端に、普段できないことも「ひとりでできます!」と答えてしまう親はとても多いようです。なかには少しでも要介護度を重く認定してもらおうというご家族もいて、「できないでしょ!」とバトルが始まることも。

 お年寄りは普段できないことも、プライドと瞬発力でできてしまうこともありますが、たくさんの家庭をみてきた認定調査員は経験豊富で、その点は理解しています。調査には「遠慮せず、ありのままを伝える」ことが大切です。

認定調査員とは?費用は?

 介護保険申請後、市区町村が認定調査員を申請者の自宅(入院中の場合は病院など)に派遣し、本人や家族に聞き取りや動作確認を行ないます。費用はかかりません。

 調査員は、原則は市区町村職員ですが、地域によっては、市区町村から委託を受けた指定市町村事務受託法人に所属する介護支援専門員や保健、医療、福祉に関する専門的な資格を持つ調査員が訪問する事もあります。
 調査員は定期的に研修を受けて調査の内容に不備や偏りなどが起こらないように備えています。

認定調査と主治医意見書で決定

 認定調査は厚生労働省の法令に定められた基本調査74項目が用いられ、心身の状況に関する調査を主として行なわれます(基本調査の内容は次回お伝えします)。

 この調査で要介護認定の判定に必要な情報を聞き取り、その内容をもとに調査員は調査票を作成します。調査票のチェック項目でコンピュータによる要介護認定基準時間を算出し、一次判定とします。

 主治医が作成する主治医意見書と、この一次判定を元として市区町村に設置される介護認定審査会で学識経験者によって判定され(二次判定)、要介護度が決定されます。
 なお、インターネットで「介護保険/認定調査」と検索すると、どのような質問がなされるか知ることができます。シミュレーションしておくのも一案です。

困っていることは具体的に伝えよう

 調査員からの質問に対して誇張して伝えたり、遠慮して控えめに答えたり、不正確な内容を答えると正確な認定結果が出ず、時と場合によっては現状にそぐわない認定結果となる場合も考えられます。

 例えばデイサービスやショートステイの利用を希望している場合、介護度が高いと利用料金も高くなります。特別養護老人ホームの申請をしたいと考えている場合は通常は要介護3以上の方となっています。

 介護保険は、介護度によって保険で利用できるサービスの上限や内容が決められています。そのため適切な要介護認定結果が出ない場合は、介護保険の範囲内で希望する介護サービスが利用出来ないという事態も起こり得ます。

 適切な介護度の下で本人に必要な介護サービスを検討するためには、認定調査は介護保険サービスの入口にあり、そして非常に重要な役割を果たしています。

【執筆者プロフィール】

須藤 伸子/すどう のぶこ

主任介護支援専門員・介護福祉士・社会福祉士・聴き方マスター2段。
有料ホームや在宅で、訪問介護員、居宅の介護支援専門員を経て、現在は認定調査員として勤務。

介護認定調査について知りたい!

MY介護の広場トップ >  一般のみなさま >  介護の知恵袋 >  メールマガジン配信コラム&エッセイ~専門家が語る介護の話~ >  介護認定調査について知りたい!・介護認定調査の内容と役割とは