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平熱が低いと身体に悪い!?

一般公開日:2024.3.17

 高齢者が数人同じ部屋にいても、「寒くてたまらない...」「いやぁ暑いくらいだよ」と部屋の温度の感じ方はさまざまです。
 冷暖房の普及によって外気の気温に合わせた体温調整機能が衰えてきている、とも言われますが、原因はそれだけではありません。

 加齢に伴って、心臓、肺、脳、筋肉などの機能が衰えていくのはよく知られていますが、同じように体温も変化し、平熱は65歳以上の高齢者の平均体温は10~50歳と比べて低くなります(※1)。

 加齢に伴う体温の低下は、なぜ起こるのでしょうか。
 原因はさまざまですが、体温調整機能が低下し、体温が低下しても代謝や血流量をコントロールして体温を調整することができない傾向がみられます。また、熱を作る役割の筋肉の量が低下し、基礎代謝が下がって熱の産出量も少なくなっていきます。

 新陳代謝、免疫力が理想的に働く体温は36~36.5℃といわれます。体温が低い状態が続くと、身体のさまざまなところに影響が現れます。ご自分の体温が低いのではと思う方は、以下の点に注意が必要です。

  • 免疫力が低下する

    →病気が治りにくくなる等の弊害が出ます

  • 基礎代謝が低下する

    →太りやすくなり、病気のリスクが高まります

  • 体内酵素の働きが低下する

    →栄養失調やエネルギー不足につながります

 ところで皆さんはご自分の「平熱」を知っていますか?コロナ禍もあり、以前より体温を測る機会が増えたと思いますが、測る時間や状況によって体温が生理的に変動するとされている事柄があります(※2)。

  • 1.体温は時間帯によって変化する
    (ただし変動は1度未満)
  • 2.運動・食事後は体温が上がる
  • 3.興奮すると体温が上がる
  • 4.長期の栄養失調の場合、体温が下がる

 これらをふまえ、体温は、

  • 毎日決まった時間に測る
  • 運動・食事の直後は避けて測る
  • 精神的に落ち着いているときに測る

ことを心掛け、ご自分の平熱を把握しておきましょう。

 次回は冬場に「体温を下げない工夫が大切」について考えます。

<参考>

※1:入来正躬、小坂光男、村上 悳、村田成子「老人腋窩温の統計値」(国立研究開発法人 科学技術振興機構)

※2:OG介護プラス

【執筆者プロフィール】

中村 紀子/なかむら みちこ

看護師。大学病院で外科病棟、救急外来、整形科/精神科外来に勤務後、在宅医療に転身。
薬や医療だけでなく、生活環境や心理的側面にも配慮し、趣味の料理を活かした簡単な食事療法のアドバイスをしている。
現在は介護施設と在宅医療に従事。

寒くなる季節、体温を下げない工夫をしよう!

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