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身体を外から温める方法②

一般公開日:2024.3.17

 冬の夜、湯船につかると、身も心も温まり眠りも深くなる気がしませんか?
 「入浴の頻度が週7回以上の高齢者は、週2回以下しか入浴しない高齢者に比べて要介護認定リスクが28%低い」との研究もあります(※1)。
 気持ちのうえだけではなく、入浴が健康に好影響を及ぼし得ることがわかります。

 高齢者は特に、冬は身体の冷えを感じることが多いと思います。その原因の一つは、血流の滞りです。寒い場所で血管が収縮してしまうと、血液の流れが滞ることから冷えを感じます。そこで、身体を効果的に温める方法として、入浴が注目されています。

 入浴により、皮膚から温かさを感じることで血管が広がり、手や足にも血液が循環し全身が温まります。収縮した血管をお湯でダイレクトに温めることは、冷え対策として非常に効果的です。

 しかし、入浴に伴う転倒や急激な温度変化による脳卒中等へのリスクも報告されており、安易に浴槽入浴を勧めることはできません。入浴時間やお湯の温度など、具体的なポイントをみていきましょう。

温度設定

 38℃~40℃のぬるめの湯で10分程度つかるのが理想的といわれます。42℃以上の熱いお湯は避けましょう。入浴時の死亡事故の大きな原因だと考えられるのが、気温の変化により血圧の乱高下が生じる「ヒートショック」と呼ばれる現象です。
 冬場は特に脱衣所と浴室の温度差がないように注意します。

入浴時間と水分補給

 食事後や早朝・深夜の入浴は心臓に負担がかかるので避けたほうがよいでしょう。湯船に入る前にかけ湯をし、ゆっくり湯船につかるようにします。また、入浴の前後には水分補給をします。

 また、さまざまな事情から、シャワー浴にしている高齢者もいらっしゃると思います。シャワー浴ですとどうしても身体が温まりません。
 そこで、シャワー浴の場合は足浴もプラスします。足下にくるぶしが隠れる程度のお湯をはり、足浴をしながらシャワーをすることで、シャワー浴だけよりも身体が温まります。

 「日本人は世界一の風呂好き民族」という説があります(※2)。たしかに、入浴は気持ちが良いものです。高齢者の方は十分に注意しながら、入浴を楽しんでください。

<参考>

※1:2018年11月12日に開かれた日本老年学的評価研究プロジェクトのプレス発表会で、千葉大学の八木明男氏らの研究グループが報告。

※2:文春新書『風呂と日本人』
筒井功著 文藝春秋発行

【執筆者プロフィール】

中村 紀子/なかむら みちこ

看護師。大学病院で外科病棟、救急外来、整形科/精神科外来に勤務後、在宅医療に転身。
薬や医療だけでなく、生活環境や心理的側面にも配慮し、趣味の料理を活かした簡単な食事療法のアドバイスをしている。
現在は介護施設と在宅医療に従事。

寒くなる季節、体温を下げない工夫をしよう!

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