「介護休暇」を補完するさらなるサポート
短時間勤務など4つの制度の
いずれかが活用できる
介護休暇を活用しても、実際に家族の介護を続けていくには、さらなる上乗せ的なサポートが必要になることもあります。
介護休業法では、こうしたサポートのため、会社側に対して以下の4つのうちのいずれかの制度を設けることを義務づけています。
それが、
(1)短時間勤務
(2)フレックスタイム
(3)時差出勤
(4)介護費用の助成措置
です。
いずれも、従事者による各制度の利用開始から、3年以上の期間内で2回以上利用できるように設定することが求められます。ちなみに、2025年4月からは、上記の制度とは別に、事業者の努力義務として、従事者の申し出によるテレワークの導入が定められました。
朝や夕方だけ家族のサポートが
必要といったケースに
上記のうち、短時間勤務制度について取り上げましょう。
例えば、日中本人はデイサービスに通い、朝の送り出しや夕方の迎え入れに際し、家族による本人の身支度や様子確認が必要なこともあります。しかしながら、デイサービスの送迎時間は午前8~9時、午後4~5時であることが多いため、日中にフルタイム勤務している人が送迎にあわせて自宅で待機していることは難しいでしょう。
そうしたケースにおいて、介護休業や介護休暇とは別に、1日の就業時間の短縮を図るために短時間勤務制度を活用するわけです。ただし、入社1年未満や1週間の所定労働日数が2日以下の従事者の場合、労使協定によって対象外となることがあります。
申請すれば、残業や時間外労働、
深夜業の免除も受けられる
なお、介護休業法においては、従事者が申請した場合に、会社に対して以下の3つを義務づけています。
①所定外労働(いわゆる残業)の免除
②時間外労働の制限(1ヵ月で24時間、1年で150時間)
③深夜業(午後10時から午前5時までの労働)をさせないこと
です。
いずれも家族の介護が終了するまで、何回でも適用を受けることができます。1回あたりの取得期間は、①、②で1ヵ月以上1年以内、③は1ヵ月以上6ヵ月以内です。
対象外となるケースもあるので、
詳しくは会社の総務課等に
利用を申し出たい従事者は、それぞれの開始予定前までに書面等で会社に請求してください。書面様式が社内で規定されていれば、それを使用します。規定されていない場合は、厚労省の「介護休業制度」のHPからダウンロードして活用します。
ただし、①~③ともに、やはり入社1年未満や1週間の所定労働日数がが2日以内の従事者などは対象外となることがあります。詳しくは、会社の総務課に尋ねてみましょう。
【執筆者プロフィール】
田中 元/たなか はじめ
昭和37年群馬県出身。介護福祉ジャーナリスト。
立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。
高齢者の自立・介護等をテーマとした取材、執筆、ラジオ・テレビ出演、講演等を行なっている。
著書に『介護事故・トラブル防止完璧マニュアル』『全図解イラスト 認知症ケアができる人材の育て方』(ぱる出版)など多数。