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たまには外食でリフレッシュ「"シニア"に優しい店も」

一般公開日:2025.9.21

 家族の人数が少なくなると、料理に手間をかけることが面倒となり、「同じようなものばかり食べている」という声を聞くことがあります。たまの外食は気持ちがウキウキ華やぐかもしれません。

 2年前、としこさん(70代)は夫を亡くしひとり暮らしになりました。最初の年は、相続などの手続きのために、別居する長男、長女がたびたび帰省していましたが、2年目に入り、その頻度は減りました。

 「ふたりとも忙しいし、『来て、来て』とは言いません」ととしこさん。普段は、自炊をしていますが、月に1回、駅前のホテルランチに出かけるそうです。

 「料理は嫌いじゃないけれど、ひとりだと手の込んだものはつくらないの。駅前のホテルのレストランにシニア割引があって、3,800円のランチビュッフェが2,800円で食べられるの」とにっこり。

 ビュッフェなので、さまざまな料理を楽しむことができます。「13時過ぎに行くと、予約していなくてもだいじょうぶ。年寄りだからか気を遣ってくれて、窓際の良い席に案内してくださるの。お腹いっぱいになるから、昼夜兼用よ」と微笑みます。

 ホテルのレストランに出かけるときには、よそ行きの洋服を着てアクセサリーも着けるそうです。「これがなければ、よそ行きなんて着ることがないわ」と目を輝かせます。

 ひとりで食べる食事は「孤食」と表現され、"さみしい"イメージで語られがちです。でも、としこさんは「ぜいたくな気分を味わえるし心地がよいわ。何より、いろいろな物をすこしずつ食べられるので健康にいいでしょ。げんきで過ごすためにも、月2回にすることも考えているのよ」と話します。

 また、としこさんは月に1回、行政が行なう地域の食事会にも参加しています。最近、二軒隣に暮らすたろうさん(70代)を誘ったそうです。

 たろうさんの妻は、としこさんの仲良しでしたが、闘病の末、ガンで亡くなりました。「たろうさんをホテルランチに誘うわけにもいかないし、役所がやっている高齢者の食事会に誘ったのよ。みんなでお昼ご飯をいただくの。男性の参加者は少ないので、『よく来てくれた』と男性陣から喜ばれていたわ」ととしこさん。

 としこさんの暮らす自治体だけでなく、多くの地域で、公民館などを利用し、ひとり暮らしの方などを対象に食事会が開かれています。参加費は無料~300円程です。

 ひとりであれ複数であれ、たまには出かけて食事をすると、日々の暮らしを豊かに彩ってくれるのではないでしょうか。

 4回にわたり、サービスを使って"生活の幅を広げている"方々を紹介してきました。なにを「お得」と捉えるかは、ふところ事情、価値観、家族構成などによっても異なると思います。

 けれども、自宅にとじこもっていては心身の状態はくだり坂になりがちです。自分にとって「お得」と思えるものをみつけて、思い切って一歩を踏み出してみませんか。

【執筆者プロフィール】

太田 差惠子/おおた さえこ

介護・暮らしジャーナリスト、NPO法人パオッコ理事長。
1994年頃より高齢化社会を見すえながらの取材、執筆を開始。96年、親世代と離れて暮らす子世代の情報交換の場として「離れて暮らす親のケアを考える会パオッコ」を立ち上げる。2010年立教大学大学院にて、介護・社会保障・ワークライフバランスなどを体系立てて学ぶ。著書多数。

お得に使えるサービスを使って生活の幅を広げよう!

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