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「ふくらはぎ」の驚きの機能とは?

一般公開日:2025.9.21

 第1回目のコラムでは、ふくらはぎをケアすることで中高年の方によくある体調不良(夜間のこむら返りによる中途覚醒、むくみ、冷え性、疲れやすさ、便秘、高血圧、夜間頻尿、自律神経の乱れ)を改善する可能性があることをお伝えしました。

 今回は、ふくらはぎの機能について詳しくご紹介します。結論からお伝えすると、ふくらはぎは運動に寄与するだけではなく、

  • 全身の血液(水分)の循環
  • 自律神経の調整

にもかかわっているため、上述の症状の改善に関係があります。

 ふくらはぎ(下腿三頭筋)は筋肉なので、基本的にほかの筋肉(骨格筋)と同様、

  • 歩行・運動のサポート
  • 姿勢の維持

の機能があります。

 それだけでなく、ふくらはぎの筋肉が収縮することで静脈の流れを促進し、血液を心臓に戻す力があります。これが「ふくらはぎは第二の心臓」と呼ばれる理由です。

 人体は重力により、足に血液が溜まりやすい構造になっています。ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)は、収縮・弛緩を繰り返すことで足に溜まりがちな静脈血を心臓に戻すポンプとして機能します。

 ふくらはぎが固かったり、筋力が低下していたり、日中にふくらはぎの筋肉を収縮させる機会が少ないと、足がむくんだり、冷え性などの原因のひとつになります。

 さらに、血液の約半分を占める血漿けっしょうには水分が多く含まれています。ふくらはぎのポンプ機能が作用せず、日中にふくらはぎに血液が溜まった状態で就寝時に横になると、余分な水分が血管内に戻り、腎臓で濾過されて尿量が増加します。これが夜間頻尿の原因となっている可能性があります。

 ふくらはぎの機能不全による血行不良は、全身への酸素や栄養の供給を滞らせ、老廃物の排出が滞るため、自律神経のバランスを崩す要因になることもあります。逆に、ふくらはぎをマッサージしたり、適度な運動で筋肉を動かしたりすることで血流が改善すると、全身の血液循環が促進され、自律神経が整いやすくなります。

 次回では、ふくらはぎをケアするために、簡単にできるストレッチやツボの刺激方法についてご紹介していきます。夜間頻尿やむくみ、冷え性、疲れやすさなどでお困りの方はぜひ楽しみにしていてください。

【執筆者プロフィール】

西野 英行/にしの ひでゆき

理学療法士。福祉用具専門相談員として介護業界で3年間勤務した後、理学療法士の資格を取得。
現在は訪問リハビリテーションに勤務。リハビリのブログ「未来のPT」を運営している。
著書『100歳まで元気でいるための歩き方&杖の使い方』がある。

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