高齢者等終身サポート事業の具体的事例(その1)
高齢者等終身サポート事業者が提供しているサービス内容は多岐にわたりますが、主に①「身元保証等サービス」、②「死後事務サービス」、③「日常生活支援サービス」に分けられます。
筆者は、2024年10月から全国でもまだ珍しい高齢者等終身サポート事業者に所属するソーシャルワーカー(社会福祉士)として、日々身寄りのない高齢者等へ支援を行なっています。第3回からは、事例を通して高齢者等終身サポート事業について理解を深めていただければと思います。
身元保証等サービスの事例
病院や介護施設等への入院・入所の際の連帯保証、緊急連絡先の指定の受託と緊急時の対応等がサービス内容です。万が一、本人が意識不明になったり、適切な判断が難しくなったりした際の緊急連絡先として機能します。医療行為への同意は原則として本人のみが行なうものですが、医療・ケアチームの一員として推定意思を伝えます。
【相談者プロフィール】
Aさん(70歳 男性)
- 家族等
身寄りはないが、近所に仲の良い地元の友人がいる。学生時代から剣道を続けており、現在はボランティアで剣道クラブの指導者をしている。
- 健康状態
最近肺がんとわかり、今後手術を受ける予定。認知症は無く、意思決定能力はある。介護サービス等支援の必要なく自立している。
- 経済的状況
特に困っていない。
【高齢者等終身サポート事業者
(以下、事業者)への相談の背景】
数ヵ月前から体調が優れず、精密検査を受けた結果、肺がんと診断された。医師から入院や手術にあたり身元保証のことを言われたが、Aさん本人は身寄りがないため、どうしたらいいか不安になり、当社へ相談に来られた。
【事業者は支援をどのようにしたか】
筆者はAさんに対して、入院や手術をする時に身元保証が必ず必要かどうか、主治医や病院のソーシャルワーカー等へ再度確認することを提案しました。また、今回の病気のことをすべて伝えている関係性の良好な友人が近隣にいることもあわせて病院側に相談するよう伝えました。
その結果、身元保証は友人でも構わないとのこととなりました。また、病院や友人には何かあれば当社へ相談することを伝えるよう助言しました。病院や介護施設によっては、まだまだ身元保証を求める現実はありますが、必ずしも身元保証人がいないと入院・入所や手術等ができないというわけではありません。
現在は、倫理コンサルテーションチームや倫理委員会等で身寄りのない方の最善な治療・ケアに向けて検討する病院も増えてきており、身元保証人ありきではなくなってきています。まずは医師や看護師、ソーシャルワーカー等へ相談してみましょう。
そのうえで、身元保証を求められた場合は、病院や介護施設等と相談しながら事業者を慎重に選択していきましょう。
【執筆者プロフィール】
岡江 晃児/おかえ こうじ
ソーシャルワーカー。
2005年国立病院機構大分医療センター、2018年杵築市役所医療介護連携課、
2022年がん研有明病院を経て、2024年よりNTTデータ ライフデザイン。 現在に至る。
大分大学大学院福祉社会科学研究科修士課程修了。
著書「8000人を支援したソーシャルワーカーが教える入院・転院・退院の困りごと完全解決!」(メディカル・ケア・サービス/株式会社Gakken)