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高齢者等終身サポート事業の具体的事例(その2)

一般公開日:2026.3.22

 前回に引き続きAさんの事例を通して、死後事務サービスや成年後見制度との相違等を交えた高齢者等終身サポート事業についてご説明します。

死後事務サービスの事例

 亡くなった後のさまざまな手続きを代行するサービスです。主な内容は、葬儀・納骨の手配、行政への届け出、遺品の整理、ライフラインの解約手続き等です。サービス利用には、事前に契約を結び、費用を預けておく(預託金)のが一般的です。

【高齢者等終身サポート事業者
(以下、事業者)への相談の背景】

 Aさんは、先日肺がんの手術が終わり、自宅で生活している。介護サービス等の支援は必要なく自立しているが、今回の病気をきっかけに、終活に関して不安を抱えるようになった。

 具体的には、手術の説明を受けた際に「万が一のこと」を言われたことで、もしも自分が亡くなったら誰が葬儀をしてくれるのか、お墓や相続のことはどうなるのか心配になった。また、脳梗塞や心筋梗塞などで意識を失った場合についても不安になり、筆者が所属する事業者へ相談された。

【事業者は支援をどのようにしたか】

 まず事業者は、死後の葬送や相続のことについて本人の思いを受容しました。そのなかで本人は、今後自分がいつどうなるかわからないため、早い段階からいろいろと終活を進めていきたいと要望がでてきました。

 そこで、遺言書作成の必要性や葬儀・お墓のことは、今までお世話になってきた葬儀社や菩提寺へ相談することを提案しました。結果、本人が万一の場合は、事業者が葬儀社や菩薩寺側と連携して対応してほしいとのことでした。
 費用精算やライフライン解約等の死後事務に関しては、友人にも頼みづらいので、事業者と「死後事務に関する手続き代行」の契約を結びました。相続は今までお世話になった友人へ遺贈と剣道クラブに寄付したいとの希望があったため、事業者は遺言書の支援のため行政書士等と連携を行なうこととしました。

高齢者等終身サポート事業と
成年後見制度の違い

 前者はこれまで述べてきたとおり、身元保証や死後の事務を行ない、成年後見人では一般にカバーされない部分を対応するもので、判断能力がある人が将来の不安に備えて利用する制度であるのに対し、後者は身元保証等のサービスはできない・しないというのが一般的な解釈で、判断能力が不十分な人を対象とする制度です。

 よって、Aさんが徐々に判断能力が不十分な状態になれば、各市町村の成年後見センターなどの関係機関に相談し、成年後見制度を活用していくことを伝えましました。また、事前に自分で後見人を決める任意後見の制度も情報提供し、今後も引き続き定期的なかかわりのなかで、生活状況等を確認しながらの検討になることを伝えました。

 Aさんは安心した様子で、「今から亡くなるまで、そして亡くなった後も末永くよろしくお願いしますね。亡くなった後まで具体的に整理ができ、安心して今から好きなことをしようと思います」とメッセージをくれました。

 今回の原稿をとおし、高齢者等終身サポート事業について理解を深めていただけると嬉しいです。

【執筆者プロフィール】

岡江 晃児/おかえ こうじ

ソーシャルワーカー。
2005年国立病院機構大分医療センター、2018年杵築市役所医療介護連携課、
2022年がん研有明病院を経て、2024年よりNTTデータ ライフデザイン。 現在に至る。
大分大学大学院福祉社会科学研究科修士課程修了。
著書「8000人を支援したソーシャルワーカーが教える入院・転院・退院の困りごと完全解決!」(メディカル・ケア・サービス/株式会社Gakken)

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