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認知症の人の外出の不安を「ちょっとした工夫」で乗り越える~希望をかなえるヘルプカードを使っている人たちの声から~

一般公開日:2026.3.22

 「外に出るのが、また楽しみになりました。」
 これは、ヘルプカードを使っている認知症のある人(以下、本人)の語りです。そうした声は、今、地域で暮らしながらさまざまな困りごとを抱える本人から、少しずつ聞かれるようになってきています。

 バスの乗り換えが不安になってきた人。レジで財布のなかを探すのに時間がかかり、後ろから舌打ちされた経験がある人。外出したい気持ちはあっても、「また迷惑をかけたら」と感じて、足が遠のいてしまった人。そのような不安を少し軽くするために使われているのが、「希望をかなえるヘルプカード」です。これは、自分の困りごとや助けてほしいこと、やりたいことなどを自由に書いて携帯できるツールです。見せるタイミングも、見せる相手も、自分で決めて構いません。

 実際に使っている人たちは、自分にあわせて次のように書いています。

《実際の記入例》

  • このカードを見せたときは、少し手伝ってもらえるとうれしいです。
  • 言葉が出てこないときがありますが、ゆっくり待ってもらえるとうれしいです。
  • 東京ドームに行きたいです。
  • セルフレジで支払いたいです。

 ヘルプカードは、本人が「受け身で支援される存在」ではなく、「自分で伝え、選び、行動する人」として社会とかかわっていく活動を支えるものです。「レジでカードを見せたとき、店員さんが『大丈夫ですよ、ゆっくりでいいですからね』と笑顔で応じてくれて安心できた」など肯定的な感想もたくさん聞かれています。

 本人がヘルプカードを使って外出したり、書いてある言葉を知ることで、「まだできることがあるんだ」「こんなふうに思っていたんだ」と、家族がはっとしたという場面もあります。また、カードをきっかけに、日常の延長として地域のなかで、支え合う関係が生まれることもあります。

 本人の外出を支えるとは、すべてを付き添うこととは限りません。
 本人の力を信じてヘルプカードを活用するということをぜひ考えてみてください。

【執筆者プロフィール】

中村 考一/なかむら こういち

社会福祉法人浴風会  認知症介護研究・研修東京センター 研修部長。
日本社会事業大学卒業、日本社会事業大学大学院修了。博士(社会福祉学)。
社会福祉士・介護福祉士。著書に『みんなで学ぼうその人を中心にした認知症ケア』(ぱーそん書房、2016)など。

認知症の人の外出支援

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