認知症の人へのレクリエーション
介護現場におけるレクリエーションとは介護施設で過ごす高齢者(障がい者)の生活の質を向上させるために個々の障がい、能力やニーズに対応しながら「楽しみ」や「意欲」「生きがい」を引き出していくことと言われていますが、認知症や介護度の違いにより「みんなで楽しむこと」が難しいケースが多々あり、介護職員も悩みを抱えている方が多いと聞きます。
今回は認知症に特化し、認知症の中核症状、行動・心理症状から考えるプログラムについて発信します。
認知症の中核症状には「記憶障害」「見当識障害」「実行機能障害」「失語」「失認」「失行」など、さまざまな症状があります。記憶障害や見当識障害があり「どうしてここにいるかわからない、ここに来た理由を聴いたが忘れてしまう」等が原因で帰宅願望が強く出る人がいます。
「こんな所にいないで子どもの世話を」と言う高齢女性、「仕事に行かなくては」と歩き回る高齢男性に「一緒に遊びましょう」と誘っても、断られるのは火を見るより明らかですよね。心ここにあらずの状態で混乱している人に「レクリエーション」の言葉は響かないものです。認知症の中核症状が強く出ている人、ましてや「行動・心理症状」まで出ている人に対してはよく話を聴き、共感を示すことが必要です。
そして落ち着いてきたところでレクリエーションに誘ってみましょう。ゲームをすることだけがレクリエーションではありません。お話をしたり、一緒にお散歩をすることで混乱が収まることはあるのです。「好きなこと」が見つかると集中するようになり不安が軽減されることもあります。その人の人生歴から「何が好きだったか、何を続けていたか」調べてみましょう。
「認知症の症状にレクリエーションは無用」かと言えばそうではありません。上手に使えば不安な気持ちを逸らし、「もう少しここでみんなと楽しんでいてもいいかな」と言う気持ちを引き出すこともできます。「毎日3時にはみんなで体操をしたりクイズやゲームを楽しむ」など習慣にすることで、1日のメリハリをつくって活動量を増やし、生活の充実につなげることもできます。
なかには「一度家に帰った」と思い込み、「またここに遊びに来ちゃった」とおっしゃる利用者もいます。そういう時、「ここでみんなとワイワイやると楽しいですものね。さあ、いつも通り体操をしますよ!」と声を掛けるようにしています。
レク・プログラムを紹介しましょう。
- 1.ラジオ体操
(認知症があっても昔から体で覚えているラジオ体操は認知症のある人が自信を持って行なえる体操です。) - 2.歌謡体操
(最近の歌はわからなくても昔の歌はよく覚えていらっしゃいます。「高原列車は行く」「東京のバスガール」「バラが咲いた」など明るいテンポの歌をゆっくり流し体を動かしてみましょう。前で腕を回したり伸ばしたり動きを変えても、利用者は見て真似をするので覚えられなくても大丈夫です。) - 3.木へん漢字クイズ
(ホワイトボードレクです。木へんの漢字を5つ出していただきます。例えば「梅」「桜」「林」「板」「枕」が出たとします。出た文字で次は「言葉」を3つ思い出すよう促しましょう。「梅」なら「梅干し、梅雨、梅酒」など「桜」なら「桜もち、八重桜、小桜インコ」など、認知症のある人は昔話をすることで元気になる人がたくさんいます。クイズもバリエーションを広げれば、利用者の思い出話を引き出し、楽しい時間を創造することができるのです。) - 4.身体を動かしましょうと動機付けをして身体を動かすゲームを行ないます。ボーリングでも風船バレーでも何でもOKです。
特に手の込んだレク・ゲームを用意しなくても、「いつも決まっている遊び」を3~5種類選び、繰り返し行なうことで馴染みの関係を築くことができます。
【執筆者プロフィール】
尾渡 順子/おわたり じゅんこ
医療法人中村会・介護老人保健施設あさひな・認知症介護レクリエーション実践研究会。介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、認知症ケア上級専門士、介護予防指導士、介護教員資格等を保持。著書に「イラストでわかる介護現場で使えるレクリエーション」(中央法規(株))