「障がいの特性」に応じたレクリエーション
年齢を重ねることで今までできていたことができなくなり、頭のなかで分かっていても体が思い通りに動いてくれないと嘆く高齢者は多いですよね。加齢による身体機能の変化を中心に高齢者の障がいの特性に応じたレクリエーションを考えてみましょう。
1.運動機能の低下
筋力や持久力の低下、関節可動域の制限、バランス能力の低下などが高齢者の日常生活動作に大きく影響を与え、転倒リスクを上げ生活の自立を妨げます。体操で体を動かすことで血流を改善し、レクゲームなどでストレスを発散して心の底から笑う時間を作ってみましょう。
キーワードは「競うレクゲーム」です。玉入れでもボーリングでも風船バレーでもOK。適度な疲労が夜間安眠に繋がり、生活にめりはりを作ってくれます。
2.感覚機能の低下
聴覚障がい(難聴など)
レクを始める時は「全員が聞こえているか」確認することが必要です。何故なら「何をやっているかわからないレク」ほどつまらないものはないからです。人数の多い時にはマイクを使用する、大きな声を出す、複数の職員が席で伝達する、筆談する(ホワイトボードに書く)など工夫をします。
一番大事なのは、ゲームを行なう際に「お手本」を示すことです。最初に職員自らやってみせる事で理解が倍増します。環境を整えることも大事です。ホワイトボードにゲーム名と簡単なやり方を書いておく、ボール送りなどは床にカラーテープで矢印を書くなど「目で見てわかる」環境を整えましょう。
視覚障がい(全盲など)
音楽を使ったゲームは有効です。全国民謡ウルトラドン(音楽の最初の1小節をCDで頭出しして止め曲名を当ててもらう)などは盛り上がるでしょう。炭坑節、ソーラン節、東京音頭など、昔から聞いている馴染みの民謡はイントロを聞いただけで答えられる方は多いです。
また、手の触感を使い「触った物を当てる」ゲームも楽しいです。例えば中身が見えない箱のなかに「ピンポン玉4、ペットボトルのふた4、アルミホイルを丸めた玉4、新聞紙を丸めた玉4、ビー玉4」を入れたものを4つほどつくり同じテーブルに座る4人の前に置きます。司会が「ピンポン玉1、アルミホイル2、ビー玉1」など指定した玉を先に出した人の勝ち!とルールを説明します。全盲の人でも楽しめます。
片麻痺、パーキンソン病など
手足が動かしづらい
手足が動かしづらい人でも楽しめる、ボールを使ったゲームを紹介します。1mほどの不織布などに3重円を描き、中心から10点、5点、1点の的を作り、ボールを投げ入れます。5回投げて点数を合計し、競ってみましょう。
片麻痺など
両手を使えず健側の手だけでボールが投げにくい場合は、空気の抜けたビーチボールを健側の手でつかんで投げていただくと良いでしょう。
パーキンソン病など
手が震えていたり力が弱い場合は、筒を縦に割るように切ったもの(模造紙が入っているような円柱の筒)に少し重いボールを乗せると、流しそうめんのようにボールが転がっていきます。転倒のリスクがあるため、職員が近くでサポートしましょう。筒の長さは80cmほど、ボールはテニスボールがおすすめです。
ゲームを行ない「全然できなかった」と自信を失わせることは本末転倒ですから、ゲームを行なう際に「どうやったら全員が楽しめるか」考えながらレクゲームを工夫する必要があります。
また、すべて手伝ってしまうのではなく、できるところは自分でやっていただく。できなければ一緒に行なうようにしましょう。ペアで行なうなど参加方法も考えます。助け合うことで生まれる友情もあります。
私は、虚弱タイプの利用者が参加する場合は、あらかじめ「手が痛いので皆さんより少し前から投げますね。」などとハンデをつける旨を説明するようにしています。
【執筆者プロフィール】
尾渡 順子/おわたり じゅんこ
医療法人中村会・介護老人保健施設あさひな・認知症介護レクリエーション実践研究会。介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、認知症ケア上級専門士、介護予防指導士、介護教員資格等を保持。著書に「イラストでわかる介護現場で使えるレクリエーション」(中央法規(株))