呼吸と健康・介護ストレスとの関係
介護などで心身ともにストレスを感じているとき、短時間でしっかりリラックスできる方法があると心強いですよね。手軽に、かつ短時間で実践できるリラックス法として「呼吸を意識すること」があります。
人の身体の自律神経がかかわる器官のなかで唯一、自分でコントロールできるのが「呼吸」です。呼吸をコントロールすることで、血流を改善し、身体的・精神的な負担を大幅に軽減することができます。自律神経は交感神経(活動・緊張)と副交感神経(休息・回復)からなり、心拍・血圧・消化などの生体機能を、自身の意思に関係なく自動で調整しています。
人体の自然な反応として、介護などで精神的・身体的にストレスを感じているとき、自然と呼吸が浅くなります。また、怒り・不安・緊張などを感じていて、交感神経が優位なときには胸式呼吸(浅い呼吸)になりやすくなり、息苦しさや落ち着きのなさ、肩こり、不眠などの症状を招く可能性があります。浅く、速い呼吸のときは体内に取り込む酸素量が少なく、脳内の酸素不足から集中力や思考力も低下しやすくなります。
一方で、ゆっくりとした腹式呼吸(深い呼吸)は胸部と腹部の間にある横隔膜を大きく動かし、迷走神経(副交感神経の経路)を刺激することで心拍や血圧を落ち着かせ、リラックスした反応を引き出します。
このように、呼吸と自律神経は、吸う・吐くのリズムでお互いに影響し合っており、「吸う=オン(交感神経)」「吐く=オフ(副交感神経)」の関係があると考えられています。この仕組みを利用して「吐く息を長めにする深い呼吸」を行なうと、自律神経のバランスを整えやすく、介護ストレスなどを感じたときにその負担を軽減することが期待できます。
ストレスや緊張で呼吸が浅くなっていませんか?まずは、しっかり「吐くこと」を意識して、息を長めにする深い呼吸を心がけてみましょう。
次回のコラムでは、呼吸で動くからだの部位(肺・横隔膜・胸郭・姿勢)について詳しくお伝えしていきます。
【執筆者プロフィール】
西野 英行/にしの ひでゆき
理学療法士。福祉用具専門相談員として介護業界で3年間勤務した後、理学療法士の資格を取得。
現在は訪問リハビリテーションに勤務。リハビリのブログ「未来のPT」を運営している。
著書『100歳まで元気でいるための歩き方&杖の使い方』がある。