呼吸法でストレス軽減する方法
普段の呼吸の仕方を少し意識して変えるだけで、心身には想像以上に大きな変化があります。具体的にはストレスの軽減、感情をコントロールする力の向上、姿勢の改善(腹式呼吸による体幹筋群の強化)、睡眠の質の向上、さらには集中力の向上といった、多くの効果が期待できます。特別な道具は必要なく、日常生活のなかで誰でも手軽に取り組める点が大きな利点です。
まずは、ご自身が「普段どのように呼吸しているのか」を確認することから始めてみてください。多くの方は無意識に「胸だけで呼吸を行なう浅い呼吸」をしています。この方法で行なう呼吸は速く、浅くなり、自律神経が緊張状態になりやすくなります。
これを改善するためには、お腹にそっと手を当て、息を吸うときにお腹がふくらみ、吐くときにお腹がへこむかどうかを確認します。これが、いわゆる「腹式呼吸」です。腹式呼吸では横隔膜がしっかりと動くため、肺に空気を効率よく取り込むことができます。
腹式呼吸を習慣として身に付けると、体幹まわりの筋肉が自然に働き、上半身を安定して支えやすくなります。その結果、猫背や反り腰といった不良姿勢の改善にもつながりやすくなります。また、横隔膜の動きが良くなることで内臓の動きも促され、全身の緊張が和らぎやすくなります。ストレスを感じたときに、肩や首が固く緊張しやすい方ほど、呼吸を整えることによるメリットは大きいといえます。
深く息を吸うためのポイントは、「しっかり吐くこと」を意識することです。一般的に「深呼吸」というと、たくさん吸うことをイメージされる方が多いですが、実際には、まず肺のなかの空気をゆっくり吐き出し、スペースをつくることで、自然に深く息が吸えるようになります。
【おすすめの呼吸法】
①4秒かけて鼻から静かに息を吸います。
②8秒かけて口(または鼻)から細く長く息を吐きます。
吸う時間の約2倍の時間をかけて吐くことで、副交感神経が優位になり、心拍数が落ち着き、心身がリラックスしやすい状態になります。このような呼吸法は、就寝前、仕事や家事の合間、イライラや不安、緊張を感じたときなどに、ほんの数分実践するだけでも効果が期待できます。続けていくことで、感情の波に振り回されにくくなり、「一呼吸おいて落ち着いて考える」余裕が生まれやすくなります。
呼吸は人間を含むすべての動物が意識せずとも自然に行なっている「基本動作」とも呼べる活動です。その質を高めることは、心と体のコンディションを整える、シンプルでありながら非常に有効なセルフケアの方法といえるのではないでしょうか。
【執筆者プロフィール】
西野 英行/にしの ひでゆき
理学療法士。福祉用具専門相談員として介護業界で3年間勤務した後、理学療法士の資格を取得。
現在は訪問リハビリテーションに勤務。リハビリのブログ「未来のPT」を運営している。
著書『100歳まで元気でいるための歩き方&杖の使い方』がある。