利用者・家族等からのハラスメントに対するリスクマネジメント
第3回 ハラスメント事例が発生した場合の対処
<ポイント1>原則として「その日のうち」に初期面談
前回までは、利用者・家族等からのハラスメントに関して、現場従事者からの相談を確実に吸い上げるための仕組みについて述べました。今回は、組織として相談事例等を把握した後の対応について掘り下げましょう。
まず、現場従事者から相談依頼の申請があったとします。原則として、その日のうちに相談者と初期面談を行ないます。大切なのは、入口でのスピード感です。
理由は、
①(それまで相談者が我慢している可能性もあり)相談に上がった時点で事態がこじれていることが多いため
②加害者側の心理状況等によっては、事象が急速にエスカレートすることもあるためです。②を放置した場合、ほかの従事者にも被害が及ぶことも懸念されます。
上記の理由から、仮に相談者から「緊急性は高くないので日を改めても良い」という申し出があったとしても、原則は「その日のうち」とします。当事者の主観とはうらはらに、客観的には緊急性が高いケースもあります。
面談に際しては、できるだけ2人体制で対応します。相談者のなかには被害を受けたことでメンタル的にダメージを受けていることもあり、感情の吐露が先行しがちです。1対1だと、相手の感情に流されて客観的な事態の把握が難しくなることもあります。最悪なのは、事態の把握に躍起になることで、「相談者にも非があるのではないか」というニュアンスの発言が出てしまうことです。これでは、相談者との信頼関係が崩れかねません
これに対し、2人体制であれば、1人が相談者をねぎらいながらメンタル面のサポートに徹し、もう1人が客観的な情報の聞き取りに集中することができます。その後の相談をスムーズに進めることができるわけです。