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利用者・家族等からのハラスメントに対するリスクマネジメント

第4回 ハラスメントの再発防止策を打ち出す

<ポイント2>事例への対処を通じて「兆候」を把握する

公開日:2020年9月19日

 問題は、ハラスメントの兆候をどう把握するかということです。前回(第3回<ポイント2>)のフローに示したように、ハラスメント事例への対処を通じて実態の掘り下げを行なったとします。重大化した事例を掘り下げる過程で、「そこに至るまでにどのような兆候が見られたか」についても、事実の集積が行なわれているはずです。

 例えば、一つのハラスメント事例をさかのぼった時、ある時期から利用者等が「自分はこんなことをされたら怒る」という警告を発していたとします。こうした警告を発するということは、すでに利用者等のなかに何らかの不満が蓄積しているわけです。その時点で何らの対処もなかったことが、ハラスメントという形に発展したという流れが浮かびます。

 こうした事実を「兆候」として蓄積していけば、その時点でどのように対処すればリスクの増大を防げるかという道筋を立てることができます。そのうえで、(今はハラスメントにまで発展していなくても)そうした「兆候の事実」があったら「上司や管理者に報告させる」という明確な指示が出せます。

 先の「利用者等からの警告」というケースでいえば、そうした事例があった場合に、上司や管理者が利用者等と面談して「サービスへの不満」などをヒアリングする機会を持つ方法が考えられます。あくまで名目は「事業所のサービス改善のため」ですが、ここで利用者等に蓄積している不満の"ガス抜き"を行なうわけです。また、仮にちょっとした誤解などが背景にあるなら、それを解消することでハラスメントへの発展を防げることもあります。

 もちろん、これだけですべてのハラスメントを根絶させるのは難しいかもしれません。しかし、少なくとも「衝動的に攻撃してしまう」といった突発的なケースは一定程度抑制できます。リスクのすそ野を狭めることで、重大事案の発生を防ぐことにはつながります。

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