5.ポリファーマシーに関するQ&A

Q1.
薬を何種類以上飲んでいると問題になるでしょうか?
特に6種類以上の薬を飲んでいる場合に薬物有害事象が生じるリスクが高くなることが報告されていますが、ポリファーマシー状態は患者さんの病態や生活、環境によっても変化し、何種類以上の薬を飲んでいるから問題になるのかに厳密な基準はありません。
長期に2~3種類を服用していて問題が起きることもあれば、疾患から10種類が必要で継続して飲んでいるけれども問題がない場合もあります。
Q2.
医師に薬が多すぎるので減らしたいと言っても聞き入れてくれません
患者さんの疾患からすべて必要な薬であるということが考えられます。しかしながら、多すぎて服薬がしっかりできず、たくさんの残薬がある状態ならば、処方の内容について検討してもらう必要があります。
医師に聞き入れてもらえず何度も伝えにくい場合は、かかりつけ薬局の薬剤師に相談してみてください。薬剤師は患者・家族から聞き取った情報のなかで、医師に情報提供すべきと考えられるものを伝えるためのレポート(服薬情報提供書)を作成し、医師に処方を検討してもらいやすくなるような提案を記載して、連携体制を築いていきます。
患者・病院・薬局間での情報共有は、より良い治療につながります。
Q3.
複数の医師にかかっているため、どの医師に相談したらよいか、ほかの医師に気兼ねしてしまいます
受診する診療科・医療機関が複数あっても、医薬品はすべてかかりつけ医が一元的に管理する、あるいは薬局を一元化することで、ポリファーマシーの解消につながることが期待されます。
主となるかかりつけ医がわからない場合、かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師を決めて、薬剤師を通しそれぞれの医師と連携をとってもらいましょう。
Q4.
親が、薬を飲まないと不安になるため薬を減らすことに納得しません
すべての薬には服薬が始まった理由があります。薬の数や種類にとらわれて、必要な薬までやめてしまうことはポリファーマシー解消ではありません。今使っている薬の必要・不必要を検討した結果、薬の数も減ったというのが理想の形です。
減薬にはご本人の意思も重要です。どのような症状がありどのような理由で処方された薬なのかはっきりと理解することがはじめの一歩です。
薬によっては症状が緩和されたら減薬・中止できる場合もあります。処方医に相談し、減薬が可能なら医師から直接ご本人に説明をしてもらうことで納得を得られるのではないでしょうか。
Q5.
テレビのCMで最近よくみるサプリメントを飲んでみたいが、
病院でもらっている薬と飲みあわせは大丈夫でしょうか?
相互作用など飲みあわせをチェックすることができるので、かかりつけ薬剤師に相談してください。
日本ではサプリメントは食品の区分に位置付けられていますが、病院から処方されている薬だけでなく、市販薬やサプリメント・健康食品からもポリファーマシーがうまれ、サプリメントの使用で有害事象が発生する場合もあります。
サプリメントは、カルシウムやビタミンCなどのようななじみのあるものから、名前を聞いてもわからないような素材まで実に幅広いものがあり、その機能や目的もさまざまです。
あくまでも補助的なもので、基本的な生活習慣である食事・睡眠・運動・休息をしっかり整えたうえで、そのサプリメントが本当に必要なものなのか検討しましょう。