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外国人介護職を受入れる現場の課題

一般公開日:2019.09.22

 2019年4月に施行された「出入国管理及び難民認定法」による外国人介護職の受入れ(特定技能1号)について、国は5年間で最大6万人を見込んでいます。

 EPA(経済連携協定)による受入れが2017年度までで累計約3,500人ですから、規模の大きさが分かります(ちなみに、「特定技能1号」は現行で訪問系サービスでの就労は不可となっています。介護福祉士を取得して在留資格「介護」を選択した場合は、就業現場の制限はありません)。

 それだけの人数が介護現場に入ってくるなか、受入れ側としての課題はどこにあるでしょうか。前回述べた「特定技能1号」の日本語能力の要件を見ると、現場における職員同士のコミュニケーションが不安になるでしょう。特に、利用者のちょっとした訴えや変化について口頭や記録での情報のやりとりが滞ると、大きなトラブルになりかねません。

 すでにEPAでの外国人介護職を受入れている施設等では、定期的に日本語力のブラッシュアップを図る研修などを実施している例があります。日本人職員に対しても、記録の書き方・報告の仕方などについて「外国人職員への配慮」を学ぶ光景も見られます。正しい日本語でわかりやすく「話す・書く」というのは、日本人職員同士の情報伝達の正確さを向上させるうえでも役立つでしょう。

 それ以外に、文化・風習・気候などに慣れないなかで、本人のメンタルケアや健康管理などの強化も求められます。また、信仰する宗教によって、食事や着衣に制限があり、お祈りの時間が必要になることもあります。異なる宗教や文化に対して、日本人職員側が学び、理解を深めることも欠かせません。

【執筆者プロフィール】

田中 元/たなか はじめ

介護福祉ジャーナリスト。立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。

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