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利用者に与える影響について考える

一般公開日:2019.09.22

 介護サービスの利用者の方々も、外国人介護職とのコミュニケーションが課題となります。職員同士であれば、「一般の日本語教科書で使われるような定型の日本語を使う」というルール設定はできますが、利用者にそれは強制できません。特に擬態・擬音語や方言などが絡んでくると、コミュニケーションのハードルが一気に上がります。

 例えば、日本語の「動悸」という言葉が、「胸がどきどきする」という表現で表現されることがあります。「動悸」は知っていても、ほかの言葉に置き換えられると理解できないことも起こりえます。

 ですから現場では、利用者の日常的な訴えのなかで、どのような言葉が多く使われるかを整理し、日本語のブラッシュアップ研修などで、外国人介護職の方々に少しずつ頭に入れてもらう必要があるでしょう。

 また、利用者のなかには外国人や異文化に対して寛容な人も多い一方、偏見や差別の意識を持つ人もいます。外国人介護職を受入れる際に、家族会などを催して理解を求めることは必要ですが、入職初期は日本人職員が付き添い、利用者とのやりとりを「仲介する」という配慮も求められます。最初は外国人に対する拒否反応を示す人でも、笑顔や傾聴、「手を握る」などのスキンシップを重ねるなかで、寛容さが生まれることもあります。

 ただし、さまざまな反応を示す利用者がいる中で、外国人介護職の心的疲労は見かけよりも蓄積しているものです。いつも笑顔を絶やさない人であっても、同僚がちょっと気遣いの言葉をかけるなど、「仲間が常にフォローしてくれる」と安心できる職場環境を築きたいものです。

【執筆者プロフィール】

田中 元/たなか はじめ

介護福祉ジャーナリスト。立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。

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