エンディングノートにはたくさんの項目があるので、最初からすべて書こうと思うと挫折しがちです。気がかりなところや、書きやすいところから始めるといいでしょう。
①プロフィール、自分史
誕生から現在までの来し方、親族のこと、旅行や趣味などを思い出しながらたどることで自分史になります。
また、認知症など介護が必要になったときに、本人に関する情報が役に立ちます。介護専門職は、要介護者の生活、習慣、趣味、嗜好などをケアにとりいれ、その人らしく生活が送れるように支援するからです。
記載する内容の例
- 氏名
- 生年月日
- 子ども・両親・兄弟姉妹・祖父母の
こと
- 家系図
- 親族関係
- 学歴・職歴
- 旅行
- 引っ越し
- ペット
- 思い出の出来事
- 思い出の人たち
- 子育ての思い出
- 私のお気に入り
など
②医療・介護
エンディングノートは、何か「万一のこと」が起きたとき、家族などが速やかに取り出して使えるようにしておきます。
例えば医療・介護に関する項目は、治療を受ける前に医療機関に内容を提示すべきものです。
記載する内容の例
- 現在の健康状態
(血液型、アレルギーの有無、かかりつけ医、持病、常用薬、健康面で注意が必要なこと)
- 病歴
- 介護が必要になったとき
(介護をしてほしい相手、場所、介護費用、介護する人に伝えたいこと)
- 重い病気や意思表示できなくなったとき
(告知、延命治療、緩和治療、どこで最期を迎えたいか)
など
③葬儀・お墓
密葬や家族葬など葬儀の形態が変化しています。
自分がどのような葬儀をしてほしいかやお墓のこと、宗教についても書いておきましょう。
遺影に使う写真の希望や、ノートによっては参列者へのメッセージを伝える記入欄もあります。
記載する内容の例
- 生前予約の有無
- 葬儀の際の宗教(宗派)
- 予算
- 葬儀の場所
- 遺影の希望
- 音楽
- お棺に入れてほしいもの
- 服装(死装束)
- 喪主について
- 弔辞をお願いしたい人
- 参列者へのメッセージ
- お墓の希望
など
④気がかりなこと
ペットの世話や、お墓の管理や掃除など気がかりなことがあれば記入しておきます。
SNSなどのデジタル情報はIDやパスワードがわからないと永久に残ってしまいますので、アドレスやパスワード、退会手続きなどの操作方法をノートに記しておきましょう。
家族や親族との思い出や感謝の気持ちなどを残しておいてもよいでしょう。
記載する内容の例
- 仕事の処理
- ペットの世話
- パソコンや携帯電話などの解約処分
- SNSなどの閉鎖処理
- 日記・写真の処分
- 脱退手続きが必要な団体
- 大切な人へのメッセージ
など
⑤アドレス帳
自分の親族や親しい友人の連絡先を記入します。亡くなったことを連絡してほしい人がいる場合には、その旨記載しておくことをオススメします。
LINEでつながっている友人なども記入しておくとよいでしょう。
記載する内容の例
- 万ーのときに知らせてほしい人の連絡先(家族・親族・友人知人・仕事関係など)
⑥財産管理
自分の資産を正確に記入することはエンディングノートの大切な作業です。エンディングノートに記すことで、現在の経済状況を把握できるので、人生の終末期をどのように過ごすのかを考え、準備するのに便利です。また資産を明確にすることは相続にもかかわる大事なことです。
その一方で、お金に関することなど、普段はあまり人に見られないように慎重に保管すべき情報もあります。
そのため、できればエンディングノートは「お金に関するもの」(財産管理・遺産相続)だけ分けて記入し、別々に保管するのが望ましいといえます。
その際、他人に知られて困る秘密の情報(キャッシュカードの暗証番号等)は、普段から家族に口頭で伝えるなど、ノートにはなるべく書かないようにしましょう。
記載する内容の例
- 預貯金
- 貸金庫
- 株式や投資信託
- 不動産
- 貸付金
- クレジットカード
- 年金
- 生命保険
- 損害保険
- 住宅ローン
- 入院時など財産管理をお願いしたい人
- 判断能力が不十分になったときの
財産管理
など
⑦遺産相続
エンディングノートに法的効力(強制力)はありません。自分の指定した遺産分割の仕方や、希望する相続人への相続手続きを確実に行なってほしいのであれば、エンディングノートとは別に遺言書を必ず作成しましょう。
反面、遺言書は死後のことしか書けませんが、エンディングノートは生きている間のことも書けます。
また、遺言書に書くほどの内容ではないとご自身が思われること、例えば「あの衣類を○○さんにもらってほしい」などの形見分けについても気軽に書く事ができます。
記載する内容の例
- 遺言書の有無
- 相続人について
- 生前贈与の記録
- 形見分け
など