MY介護の広場トップ >  一般のみなさま >  介護の知恵袋 >  幸せな最期を迎えるための終活案内版 >  【3.療養期・看取り期】在宅医療のポイント

在宅医療のポイント

登場人物

老夫婦

在宅医療に
関心がある老夫婦

ドクター

ドクター

夫

入院した時食事の味付けが合わず辛かった経験があります。テレビを見る時も気を遣いました。できれば、病気になっても入院せず自宅で療養できたらどんなにいいだろうとしみじみ思いました。
人生最期を自宅で迎えられたらありがたいですね。

ドクター

人生最期のときをどこで過ごすか、自宅なのか、病院なのかを前もって考えておくことは大切ですね。
自宅で最期のときを過ごしたいと本人が決めた場合は、家族も含めたチームケアが重要になります。

ドクター
妻

でも、介護してくれる家族には大きな負担をかけますよね。症状が急変したときを考えると不安ですし。

ドクター

在宅医療には、医療保険や介護保険が適用されますので、本人や家族だけですべてを行なうことはありません。現在では、在宅ケアのシステムが整ってきたので、痛みなどの症状を緩和することも可能です。
できるだけ住み慣れた場所で、自分らしく役割を持って、最期まで過ごすことができます。

ドクター
ドクター

在宅医療にはメリットもありますが、デメリットもあります。それも考慮が必要ですね。
終末期にはその人の価値観が出てきます。

ドクター
妻

自分が最期までどう生きたいか、まずはそこから考えてみます。

在宅医療とは

第3の医療 在宅療養

 慢性疾患を抱える高齢者の増加に伴い、継続的な診療が必要でも通院が困難な患者に対して、自宅等に定期的計画的に医師をはじめ医療従事者が訪問(往診、訪問診療、訪問看護等)し、医療サービスを提供することを在宅医療といいます。
 入院、外来に続き第3の医療と言われています。

 医療や介護が必要になっても、住み慣れた地域で最期まで自分らしい生活を続けられるよう、入院医療や外来医療、介護、福祉サービスと相互に補完しながら患者の日常生活を支えます。
 また、日常の障がいや療養を支えるだけでなく、生活動作のリハビリや口腔ケアなども行なうことが出来ます。また、入院していた病院との連携、急変時の対応、看取りなども行ないます。

在宅医療の現状と必要性

最期は自宅で暮らしたい...51%

 完治が見込めない病気になった場合に最期を迎える場所に「自宅」を希望する人が51%います。
 しかし現実的には、在宅医療には「365日24時間対応」、「専門外の医療行為や疾患に対する対応」、「緊急時の医療連携」などが必要になります。そして一般診療所であれば外来診療と訪問診療の両立を考えなければならないなど医療の提供側にも負担や課題があります。

 高齢化の進行に加え、国も在宅医療を推進していますので、今後、在宅医療の需要はますます増えていくことが予想されています。

※厚生労働省「平成30年高齢期における社会保障に関する意識調査」

在宅医療のメリットと留意点

 在宅で看取る場合、家族の精神的な負担が大きくなります。家族が共通の認識を持つことが大切です。
 また、いろいろ決めておいても、いざとなれば、なかなか予想通りにはいかないものだと、知っておく必要があります。

 ここで、在宅医療のメリットと留意点について、例をあげてみましょう。

自宅療養で通院治療から
在宅医療に切りかえる場合

 自宅療養で定期的に通院していた人が、通院が体力的に難しくなってきた、家族の送迎が難しくなってきたなどの理由で在宅医療に切りかえる場合があります。

自宅のベッドでテレビを楽しむおばあさん

メリット

  • 病院などに付きそう家族の負担が少なくなる
  • 病院が遠い場合、通院への負担、診察の待ち時間などの問題がなくなる

 従来のかかりつけ医が在宅医療を実施していない場合は、かかりつけ医を変更することになります。

末期がんなどの最期の療養期間について、
入院から在宅医療に切りかえる場合

 末期がんなどで、積極的な治療が終わり、緩和ケア中心に移行する際に、退院して在宅医療に切りかえる場合があります。

メリット

  • 自宅という住み慣れた場所で、食べ慣れた味付けの食事も含めストレスが少ない環境で暮らせる
  • 残された時間で、やり残したことに取り組める
  • ホスピス(緩和ケア病棟)で緩和ケアを受ける場合は差額ベッド代などで費用が高額になることが多く、在宅医療のほうが費用を抑えられる
おじいさんの異変に慌てて電話する家族

デメリット

病院のように看護師が定期的に巡回したり、ナースコールですぐにかけつけることは難しくなるため、家族の理解、医療・介護従事者の連携が必要になる

高齢者の在宅での看取りの場合
(長期ケアの最期)

 介護の必要な高齢者の介護状態が進行し、食事がとれなくなった時に、経管栄養(チューブを通して、胃や腸に直接栄養剤を注入すること)をせずに、自然な形で看取る場合があります。

メリット

  • 自宅という住み慣れた場所で、本人の希望にそった最期を迎えることができる
  • 家族や友人・知人、ペットなどが本人と最期の時間を一緒に過ごすことができる

デメリット

病院のように看護師が定期的に巡回したり、ナースコールですぐにかけつけることは難しくなるため、家族の理解、医療・介護従事者の連携が必要になる

 ケースによっては家族の介護負担が大きくなったり、看取りの期間が長くなってしまう場合もあります。
 医療・介護保険以外の民間サービスを利用したり、時には介護施設での看取りについても検討することも必要になるかもしれません。

在宅医療にかかる費用は?

 在宅医療も、介護保険や健康保険制度を利用することができます。

 以下は、医療保険における、医師が通院が難しい患者を総合的に診療し、定期的な訪問診療を行なっているケースの費用です。
 年齢や病状、住まいの状況、検査や処方する薬によって異なりますので一概には言えませんが、1割負担の人で月額約6,000~7,000円という目安をだしている病院もあります。

訪問診療費

在宅時医学
総合管理料

加算料金
薬剤料 
検査料など

患者負担
(1~3割)

 医師以外にも、歯科医師・薬剤師・看護師などの医療スタッフが訪問することもできます。その場合は、別途費用がかかります。

在宅医療の希望を伝える

 「最期は自宅で暮らしたい」と思ったとしても、「周囲に迷惑をかけたくない」などの理由で、希望を口に出せない場合があります。しかし今、さまざまな形で「本人の選択を優先する」取り組みがされています。

 在宅医療や看取りを希望する場合は、エンディングノートに書いたり、「人生会議」で伝えるなど、周囲に伝えることが大切です。周囲もできる範囲で一緒に考えてくれるに違いありません。

ほかの
「3.療養期・看取り期」の
ページを見る

ほかの「終活案内版」を見る

MY介護の広場トップ >  一般のみなさま >  介護の知恵袋 >  幸せな最期を迎えるための終活案内版 >  【3.療養期・看取り期】在宅医療のポイント