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利用者・家族等からのハラスメントに対するリスクマネジメント

第4回 ハラスメントの再発防止策を打ち出す

<ポイント3>「兆候」に応じた対処を類型化する

公開日:2020年9月19日

 ここまで述べた「ハラスメントの兆候」には、もちろんさまざまなパターンがあるでしょう。パターンによっては、先に述べた「ヒアリング機会を持つ」という方法だけでは、リスク軽減につながらないこともあります。

 例えば、認知症の利用者による暴力・暴言などについては、一部の原因疾患を除けば何らかの要因によるBPSD(周辺症状)の悪化が表出したものです。そして、認知症ケアのノウハウがしっかりしている現場であれば、BPSD悪化の「兆候」は事前につかめているはずです。つまり、BPSDの改善に向けた認知症ケアの着実な実践が、リスク軽減を図るうえで欠かせないフローとなってくるわけです。

 こうした多様なパターンを考えたとき、蓄積された「兆候」を類型化していくという作業が必要です。その類型化した兆候について、パターンごとの対処フローを構築し、組織マニュアルに仕上げていきます。このマニュアルを従事者に示しつつ研修を行なうことで、(重大化していなくても)兆候が見られた時点で現場からの相談を吸い上げやすくなります。いわば、介護事故防止にかかる現場からのヒヤリハット報告の推進と同じ構図です。

 ただし、ハラスメントの対処や兆候についての事例の吸い上げが増える中で、初期のマニュアルで把握できていないパターンが生じることもあります。そうしたパターンが生じる度に、新たな分析⇒フローの構築を行ないつつ、マニュアルを更新していくことが欠かせません。この更新を組織内で着実に行なうことも、中長期的に見た再発防止において欠かせない実務であることも頭に入れておきましょう。

 こうした再発防止策を有効に機能させるカギとなるのが、先に述べた(第2回<ポイント2>)マニュアルをもとにした従事者研修です。要するに、現場従事者への再発防止策のフィードバックです。これを確実に進めるにはどうすればいいかについて、次回掘り下げることにしましょう。

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