2.リスクのアセスメント ②利用者の疾病や健康の状況
疾病や健康の状況と多様な
生活行為との折り合いを意識する
介護現場では、どんなに軽度の疾病でも見落とさず、多様な生活行為との折り合いを意識しなければなりません。結果として、それが利用者の「してきた・これからしたい生活」を広げ、自立支援という介護の目的を果たすうえで重要になります。
利用者の「疾病や健康の状況」を
どうとらえるか?(1)
※ADL(Activity of Daily Living:日常生活動作)
日常生活を営む上で、普通に行なう食事や排泄、整容、移動、入浴等の基本的な行動をさす。要介護者等が、どの程度自立的な生活が可能かを評価する指標としても使われる。
※IADL(Instrumental Activity of Daily Living:手段的日常生活動作)
日常生活を送る上で必要な動作のなかでも、複雑で高次な動作をさす。電話の使い方、買い物、食事の支援、家事、洗濯、移動、外出、服薬の管理、金銭の管理の8項目で構成されている。
最近は、趣味のための活動も含むと考えられるようになってきている。
随時のアセスメントによって
疾病や健康の状況を掘り下げる
- 利用者が高齢化する中で、複数の慢性疾患などにかかっているケースが多くなります。たとえ介護の主因となる疾病でなくても、そのほかの慢性疾患があることで日常生活にさまざまな制限が加わることがあります。
- まず必要なことは、その人の心身の状態についての初期情報を確実につかみ、初期情報をベースに、追加的なアセスメントによって「利用者の疾病や健康の状況」を掘り下げることです。
- 多様な生活との絡みで「どのような注意が必要なのか」「生活を継続していく中での予後の予測はどうなっているか」などは把握しきれない場合があります。日ごろ使っているアセスメントシートの「疾病・健康状況」にかかわる項目やその記載方法が現状のままでいいのか定期的に見直すことが求められます。
- また、疾病に伴う服薬や特別な医療処置などが、副次的に利用者の生活に与える影響にも注意が必要です。
複数の疾病と服薬の影響を
立体的にとらえる
主たる既往歴の周辺には、ほかにも多様な疾病とそれに伴って服用する薬があり、複数の疾患と薬が互いに影響しあって生活上のリスクが増幅されます。
その点を考えたとき、「その人の疾患・健康状況」→「それに対する留意点」を一つの線で結ぶだけでなく、各項目を関連づけつつ「状態像」を立体的にとらえていくことが求められます。それにより、表に出てこない潜在的なリスクを予測することにもつながります。
利用者の「疾病や健康の状況」を
どうとらえるか?(2)
事例:脳梗塞の既往歴がある利用者
- 脳梗塞発症後に麻痺などが残る場合、転倒・転落などのリスクが高まります。高次脳障害による空間失認があれば、それに起因する事故も懸念されます。
- 脳梗塞の背景として、高血圧症などの慢性疾患が原因となっている可能性に注目します。
- 心房細動などが引き金となっている場合、心疾患にかかる留意も必要となります。
- 糖尿病がある場合は感染症リスクも高まり、そこに脳梗塞による嚥下障害が加わることで誤嚥性肺炎なども発症しやすくなります。
- 複数の疾患がある場合には服薬数も多くなり、その適正な管理や服薬に際しての影響(服薬後にふらつきが生じる、特別な栄養管理が必要になるなど)も頭に入れなければなりません。