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【事例2】
親を呼び寄せて上手くいかなかった ― 「帰りたい」を連発

 マユミさん(50代仮名)は神奈川県の戸建て住宅で夫と暮らしています。実家は熊本県。半年前に母親が病気で亡くなり80代の父親が一人暮らしに。家事一切を母親が担っていたため、父親の生活はすぐに滞ることに。炊飯器、電子レンジの使い方もわかりません。

 生活が回らないため、マユミさんは父親を神奈川の自宅に呼び寄せることに。ちょうど、独立した子どもの部屋が空いていました。

 ところが......、神奈川にやってきた父親は、1ヵ月ほどした頃から「帰りたい」を連発。マユミさんは共働きなので日中、留守になります。
 そこで、父親が時間を持て余さないように高齢者が集まるコミュニティセンターに行くよう促しましたが嫌がります。九州弁を話す人がいないことも不満な様子。マユミさんはどうしたものかと悩んでいます。

ポイント

 高齢夫婦の場合、家事全般を女性が担っているケースが珍しくありません。そのような状態で母親が先に亡くなると、父親の生活はスムーズに進まなくなるため子は呼び寄せようと考えがちです。
 しかし、子の家に越してきたものの「帰りたい」と言い出すケースをかなりの頻度で耳にします。実際、「とうとう親は元の住まいに戻ってしまった」と肩を落とす子どもに出会うこともあります。

 マユミさんのところがうまくいかなかった大きな原因をあげてみましょう。

1.父親は納得していなかったのではないか

2.いわゆる「日中独居」になってしまった

3.方言の違いを甘くみていた

解説

 まず、父親は九州から神奈川に来ることに納得していたのかどうかが問題です。確かに、生活に困っていたかもしれませんが、「呼び寄せ」以外の方法も検討するべきだったのではないでしょうか。シンプルで使いやすい家電に買い替えるとか、ホームヘルプサービスを入れるとか......。
 いろいろ考えて、それでもやはりと転居するのと、流れでなんとなく転居するのでは、本人の覚悟は全く異なり、後者だと不満が出やすくなります。

 2つ目は「日中独居」の問題です。九州の自宅に居れば、たとえ一人暮らしであっても近所に友人知人がいます。買い物に行っても、立ち話をする相手もいるでしょう。
 一方、子どもと暮らしても、子どもは仕事で出払うので日中は一人きり......。話し相手もおらずかえって孤独になるケースをよく聞きます。

 だからこそ、マユミさんは、父親に地域の高齢者の集いに参加するように促しました。それ自体は正しい選択だと思いますが、同世代の人が集まっていても、言葉のイントネーションが違うと馴染みにくいものです。
 呼び寄せを検討する際には、環境の激変(方言や食事の味付けなどの変化が大きなネックになるケースが少なくないこともお忘れなく)に馴染めそうかどうか考えておくことも大切だと思います。

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