ストレスとは?
厚生労働省の「平成28年国民生活基礎調査」によると、悩みやストレスがある人は、男43%、女52%となっています。
一般的には、働き盛りの世代であれば「仕事」や「子どもの教育」のストレスなどがあるでしょうし、高齢になれば自分や家族の「病気」や「介護」のストレスが増えてくるのではないでしょうか。
心療内科では、「健康の問題」、「経済的な問題」、「対人関係の問題」をストレスとして訴える患者が多くなっています。
暑い寒い、騒々しい、臭いといった外部からの刺激は、環境ストレスと呼ばれます。環境ストレスは、室内の温度を調整するとか、騒々しい場所、臭い場所から避難するなどで対処できます。
しかしながら、「自分の人生はこれでよいのだろうか」とか、「明日の発表をミスしたらどうしよう」といった、自分の内面から沸き起こる悩みやストレスを解消するためには、まずは自らの考え方や受け止め方を変える必要があります。難しいことではありますが、このメルマガのような健康情報を参考にしたり、自分で本格的に心理学を勉強したり、適切な人からアドバイスをもらうことで、新たな考え方に気づくことがあります。
具体例をみてみましょう。何か失敗をしたときに、「もう駄目だ、もう終わりだ」と考えると、絶望感に襲われます。これは心理学で「全か無かの思考」と呼ばれており、極端な思考パターンの1つです。自分の考え方のパターンに気づき、そのパターンがストレスを生み出す不適切な考え方である場合は、別のより望ましい考え方になるよう繰り返し練習します。これを「認知行動療法」と言います。
「認知行動療法」についてはインターネットや書籍を用いた自学形式のテキストも普及していますので、参考にしてみてください。
【執筆者プロフィール】
中尾 睦宏/なかお むつひろ
心療内科医。国際医療福祉大学医学部教授。
東京大学医学部卒業、東京大学大学院修了、ハーバード大学大学院修了。帝京大学医学部附属病院、山王病院(現在)で心療内科医として勤務。