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ストレスと食欲

一般公開日:2018.11.18

 食欲の秋となりましたが、ストレスと食欲は関連します。俗に「ストレス食い」と言われるように、ストレスを受けると食欲が増す人がいますが、実はストレスで食欲が低下する人も多くいます。

 例えば、うつ病においても同じ現象が起きます。うつ病の診断基準の1つに「食欲の低下または体重の減少」があり、確かに大部分のうつ病患者は食欲低下を起こします。逆に約10~20%の患者は、食欲が増して肥満します。

 ストレスは危機を知らせるアラームの役割があります。過度なアラームが出ると、筋肉の緊張は高まり、胃腸の動きは低下します。そうなると食物を受けつけなくなり、食欲が低下します。無理に食べようとすると、吐き気がしたり、場合によっては嘔吐します。神経性胃炎や胃下垂などが典型例です。

 一方、ストレスを感じる脳中枢と食欲を刺激する脳中枢は比較的近い位置にありますので、ストレスが高かったり慢性化したりすると食欲は増します。これが「ストレス食い」です。

 ストレス食い自体は病気ではないのですが、程度があまりにもひどいと病気の診断がつくことがあります。典型例は、「神経性過食症」です。過食をするときは、5千kcalとか1万kcalといった考えられないほど大量な食物を食べるので、胃に収まり切れず、自分で喉に指を入れて嘔吐をしたり、下剤を乱用したりする深刻な状態になります。こうした場合は、専門科での治療が必要となります。

 食事はおいしく規則正しく食べることが、健康維持の大原則です。

【執筆者プロフィール】

中尾 睦宏/なかお むつひろ

心療内科医。国際医療福祉大学医学部教授。
東京大学医学部卒業、東京大学大学院修了、ハーバード大学大学院修了。帝京大学医学部附属病院、山王病院(現在)で心療内科医として勤務。

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