暑さのストレスへの対応
夏の暑さは典型的な環境ストレスです。ホラー映画を観たり、怪談話を聴いたりするとひんやり感じると言われています。怖い話を見聞きすると、脳で「恐怖」を感じ、自律神経系やホルモン分泌系がストレス反応を起こします。
すると末梢血管が収縮し、体が冷えた感覚が生じます。怖いもの見たさの一時的な刺激ならよいのですが、常にストレス反応が起き続けると問題です。趣味もほどほどにというところでしょうか。
体は、暑さに対処するため汗を出して体温調整をしようとします。夏はじっとしていても汗がどんどん出ますので、熱中症に注意が必要です。
「汗のかき方がいつもと違う」ことが、熱中症に気が付くヒントになります。何度ふいても汗が出るのが典型ですが、逆に全く汗をかかなくなることもあります。これは、脱水の症状ですので、すぐに涼しい場所に移動して水分補給をしてください。
ストレスが関連する健康問題で発汗と言ったら、「多汗症」が挙げられます。夏場に限らず、1日中汗が止まらず、就寝中に何回も下着を交換しなくてはならず、おちおち寝ていられないという方もいます。
緊張やストレスで汗をかく「精神性発汗」の場合、「腋(わき)の下」や「手掌(てのひら)」に汗が出やすく、汗でびっしょりとなるので握手ができないとか、汗で書類をダメにしてしまうと悩んでいる方もいます。
通常は、汗を抑える成分の入ったスプレーやクリームなどを用いますが、抗不安薬や自律神経失調を改善する薬などで症状が改善することもあります。
【執筆者プロフィール】
中尾 睦宏/なかお むつひろ
心療内科医。国際医療福祉大学医学部教授。
東京大学医学部卒業、東京大学大学院修了、ハーバード大学大学院修了。帝京大学医学部附属病院、山王病院(現在)で心療内科医として勤務。