MY介護の広場トップ >  一般のみなさま >  介護の知恵袋 >  メールマガジン配信コラム&エッセイ~専門家が語る介護の話~ >  マスク越しの会話を伝わりやすくする方法・最も伝わり難くなるのは、言葉の"子音"

最も伝わり難くなるのは、言葉の"子音"

一般公開日:2021.09.19

 マスク着用時の話し声では、

  • 音に含まれる周波数成分の、特に高い周波数成分が弱まる
  • 短い時間で突発的に発生する音が抑えられる

といった劣化が起こり得ます。

 さらに飛沫防止シートが張ってあると、

  • 全体の音量が落ちる
  • 高い周波数成分がさらに弱まる

となります。

 これで最も伝わり難くなるのは言葉の"子音"です。子音は高い周波数成分で構成されているものが多く、サ行(s)はその典型例です。そして、短い時間で突発的に発生し、周波数も高い子音として、パ行(p)、タ行(t)、カ行(k)などがあります。

 マスク着用時の会話では、これらの子音は大幅に伝わり難くなるということを知っておいてください。加えて、マスク着用時には相手の口元や表情が見えなくなります。人間は、相手の言葉が聞き取り難いときは、無意識に口元の動きや表情を見て言葉の内容を推測します。

 マスク着用時にはこれが全くできませんから、特に加齢性難聴が始まっている可能性が高い40歳以上、そして当然のことながら高齢者や難聴者に対しては、あなたの言葉はきわめて伝わり難くなるのです。

 誰もが加齢とともになる加齢性難聴には、そのほとんどの人に自分の聞こえが衰えているという"自覚がない"という特徴もあります。だから、言葉が聞き取れないと相手の話し方のせいにして感情的になったり、自分の認知機能の低下を心配して落ち込んでしまったりする。これがトラブルの原因になるのです。

【執筆者プロフィール】

坂本 真一/さかもと しんいち

(株)オトデザイナーズ代表取締役。難聴など聴こえに関する専門家。2015年より九州大学および京都光華女子大学客員教授 。
著書に「音響学を学ぶ前に読む本」(出版社:コロナ社)など。

MY介護の広場トップ >  一般のみなさま >  介護の知恵袋 >  メールマガジン配信コラム&エッセイ~専門家が語る介護の話~ >  マスク越しの会話を伝わりやすくする方法・最も伝わり難くなるのは、言葉の"子音"