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加齢性難聴は自然な老化現象

一般公開日:2024.3.17

 加齢性難聴は特殊な障がいではなく、自然な老化現象です。ですから誰もがなって当たり前なのですが、一方で大部分の人に"難聴の自覚が無い"という特徴があります。
 さらに皆さんは、加齢性難聴ってけっこうな年寄りがなるものだと思っていませんか?少なくとも自分には関係ないと。

 人は誰でも20歳を過ぎると加齢性難聴が始まります。そして40歳を過ぎたあたりから、ほとんどの人が日常生活や仕事の場で、加齢性難聴による何らかの不都合、トラブルなどを起こし始め、その頻度は加齢とともに増していきます。

 補聴器は文字通り、そんな人の"聞こえ"を補ってくれる機器です。40歳から補聴器が必要になる人は少ないですが、不都合やトラブルの頻度が高くなる60歳くらいからは、補聴器の使用を考え始めるべきなのです。

 そうなると「補聴器をすると、どれくらい"聞こえ"が良くなるのか?」「どうやって、どんな補聴器を購入すればよいのか?」が気になるところです。補聴器はとても高価な機器ですから、効果があるか分からないのに、いきなり購入するのは躊躇するのが当然でしょう。

 よく理解しておいていただきたいのは、「補聴器をしたからといって若いころの"聞こえ"に戻れるわけではない」ということです。メガネやコンタクトレンズでは、多くの場合は以前と同じように見えるようになります。

 しかし、補聴器にメガネのような効果を期待するのは間違いです。視覚と違って聴覚は、矯正すればもとに戻るという単純な感覚ではないのです。
 時間をかけて補聴器の音に少しずつ慣れて行く必要がありますし、その過程で調整が合っていないようなら、再調整を行なってもらう必要があります。

 そうやって再調整を繰り返しても、やはり補聴器で若いころの"聞こえ"に戻ることはできません。

 では、補聴器は高価なばかりで大して役に立たない機器なのでしょうか?
 答えは「No」です。補聴器はとても役立つ機器です。そして多くのシニア世代の方は、できれば補聴器を使った方が良い状況にあるのです。

【執筆者プロフィール】

坂本 真一/さかもと しんいち

(株)オトデザイナーズ代表取締役。難聴など聴こえに関する専門家。2015年より九州大学および京都光華女子大学客員教授。
著書に「音響学を学ぶ前に読む本」(出版社:コロナ社)など。

加齢性難聴の人が補聴器を購入する前に知っておきたいこと

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