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ケース4 母と夫の同時介護。生活が苦しく不安

介護が必要な母親と
暮らし始めた矢先、
夫が脳梗塞で病院通い。
ふたりを介護することになり苦しい。
経済的にも不安で眠れません。

母と夫の同時介護

登場人物

介護者 長女(Dさん)
介護される人 母(要介護3)
夫(要介護2)

 Dさん(女性、65歳)は、シングルマザーの母のもと、ひとりっ子で育ちました。母は地方でひとり暮らしをしていましたが、今回、要介護3となり、さすがにひとり暮らしには無理が出てきました。そこでDさんは自営業の夫と相談し、母を地方から呼び寄せて同居し自宅介護することとしました。しかしながらそうした矢先に、夫が脳梗塞で倒れてしまいました。幸い一命はとりとめたものの、片麻痺が残り、介護が必要となりました。
 Dさんは突如、母と夫のふたりを介護しなくてはならなくなりました(①)。とはいえDさんも65歳と高齢であり、大事には至ってないもののご自身も病院に通院している身です。

 経済的にもとても苦しい状況です。母は貯金ゼロでわずかに年金があるのみ。Dさんと夫は自営業でしたが、夫が脳梗塞で倒れて以降は廃業せざるをえず、こちらも現在は夫婦のわずかな年金収入のみ。貯金もほぼありません。
 自らパートで働こうかと考えましたが、母と夫のふたりの介護は体力的に非常に厳しく、また通院もしているDさんではどんなに頑張っても、パートまではできそうにありません。ケアマネジャーからはホームヘルパーの利用を提案されましたが、経済的に厳しいと思って断りました。

 Dさんの窮状をみかねた友人は、生活保護しかないんじゃないかと助言してくれました。しかしながら生活福祉課に行ってみると、自宅と車が保有資産となるため、それぞれ解約しないと生活保護は受けられない(※)ということがわかりました。とてもじゃありませんが、自宅と車がないと生活も介護もできません。
 ケアマネジャーや地域包括支援センターにはそこまではまだ相談はしていません。

 経済的にも、体力的にも、精神的にも限界(②)のDさんですが、現在、不安で不安で仕方がなく、夜もあまり眠れず、なすすべももうない状況です。子どもはいますが、頼れません(③)

※一定の条件を満たした場合には、生活保護において自宅や車の所有を認められるケースがあります。お住まいのある自治体の窓口に相談してください。

どこに問題があるのか、
一緒に考えてみましょう!

 Dさん自身の体力、経済力を考えると、現在の状況が困難であることは間違いありません。こういった状況でDさんに頑張れというのは、それは無謀に等しく、このままではDさんのみならず、家族3人共倒れとなりかねません。

 こういったときに頼るべきものとしてあるのが、まさに社会保険制度や社会福祉制度です。

 限界に近いDさんですが、すでに通院治療中の病気に加え、不安が高じての不眠も続いています。このままでは心の病にもなりかねなく、健康を守るために医療機関受診が必要と思われます。

①高齢者ひとりで、ふたりを介護

ケアマネジャーや
地域包括支援センターに相談

 現在の状況をDさんひとりで抱えて乗り越えていくことは不可能です。こういったときは公的サービスに頼ることです。
 介護のことだけでなく経済的なこともまずはケアマネジャーに相談してみましょう。あるいは、最寄りの地域包括支援センターでも構いません。
 地域包括支援センターは、介護・医療・保健・福祉などの側面から高齢者を支える地域の「総合相談窓口」です。高齢者や介護のことでの困り事があったら、まずは最寄りの地域包括支援センターに相談してみましょう。さらに必要な場合には、センターから必要な支援のところにも繋いでくれるでしょう。

②経済的にも、体力的にも、
精神的にも限界

ケアマネジャーに相談

精神的なストレスが
身体の不調に表れたら要注意

 Dさんがおかれた窮状は並大抵のことではないため、すでにDさん自身は不安で夜なかなか眠れない状態が続いています。

 精神的な切迫感や緊張、ストレスが大きくかつ継続している場合、それは身体の不調を伴って表れてきます。そういったときよく見られるのは、食欲や睡眠への影響です。食欲がなくなったり、食味が変わったり、夜眠れなくなったり、眠りが浅くなったり、あるいは悪夢に見舞われたりすることがあります。
 身体に不調が表れてきているのは、心の悲鳴の表れかもしれませんので、不調が一過性ではなく続いている場合には医療機関を受診してみましょう。

 専門的には精神科や心療内科がよいですが、お近くになかったり探すのが難しかったりする場合には、まずはよく行く内科の医師にしっかりと相談してみましょう。見立てや処方をしてくださり、さらに必要な場合には専門のところの紹介もしてくださるでしょう。

③子どもに頼ることができない、
しかし...

一大事には子どもにも連絡、相談を

 Dさんは子どもがいるが頼れない、と言っています。なんからのご事情があるようですが、現在のDさんの状況は生死にかかわるかもしれない一大事と捉えられます。このため、子どもにも連絡して、まずは相談からはじめてみるのがよいかと思います。

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